牧師室より

 日本クリスチャンアカデミーが主催した宗教対話プログラムで本田哲郎神父の講演があると聞き、出席した。本田神父は大阪の寄せ場「釜ヶ崎」に20年間、身をおいて司牧(伝道・牧会)をしておられる。釜ヶ崎でイエスの福音がはじめて肌身に感じられるようになったと言われる。著書「釜ヶ崎と福音」はサブタイトルを「神は貧しく小さくされた者と共に」としている。イエスは弱く、虐げられた者の側におられ、そのイエスに従う中で回心と解放が約束されると力説される。

 多岐に渡って心に残る言葉で、聖書を解き明かされた。福音とは隣人を必要とする人の具体的な隣人になることである。そのためには、隣人の痛みにはらわたがつき動かされるほど共感し、それを共有する視座に変える「悔い改め・回心」が求められると語られた。

 また、宗教は人を生かすものであるが、逆に人を殺すものになっていると、現在の教会の宣教や体制を手厳しく指摘された。イエスの福音が約束する解放に与るために、根本的に問い直す視点と変革が必要であると目の覚めるような問いかけがなされた。