牧師室より

北朝鮮が二度目の核実験を行った。本当に残念である。広島、長崎で被爆した方々はどんなに悔しく思っているだろうか。北朝鮮の国家予算は東京の足立区の予算と同じくらいだそうである。その予算の中から核兵器、ミサイルの費用を捻出する訳であるから、国民の生活はどれほど苦しいものであろうかと思う。それでも、軍事費につぎ込んでいる。絶対天皇制の下で、戦争に突き進んで行った日本の歩みをそのままなぞっている。北朝鮮を最も理解できるのは日本ではないか。

核保有国は「核拡散防止条約」で核兵器の広がりを押さえ込もうとした。しかし、イスラエルが持ち、インド、パキスタンは核実験に成功し、保有国になった。米国は中国を牽制するためインドの核保有には肯定的で、北朝鮮、イランの保有には断固反対するダブルスタンダード(二重基準)の立場を取っている。こんな態度で核の拡散が防げるとは思えない。そもそも自分だけは持って、他は持つなという論法は成り立たない。

「悪魔の兵器・核」は凄まじい威力を持っている。極貧国・北朝鮮は核を持ったがために、米国と世界を向こうに回し「貧者の恫喝」ができる。聖書の古代世界では考えられない状況を生み出している。

オバマ大統領はプラハで「核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国には行動すべき道義的責任がある」と核廃絶に向かう歴史的演説をした。私はその本気度を知りたいと思っているが、核保有も莫大な費用がかかり、また国家間において核を使用をしようものなら、完全に世界から排除される。核は「恫喝の道具」でしかない。

ただし、テロリストに渡って用いられたら悲劇である。まず核保有国が廃絶する。そうすれば、拡散防止条約が有効な説得力を持ち、核の製造を阻止することもできる。唯一の被爆国である日本は全力で核廃絶に向かって世界を牽引すべきである。