牧師室より

「港南区9条の会」が催され、会のメンバーか4人がそれぞれの平和と9条に関する思いを話された。その中の一人の大学教師をしている方が下記のような話をされ、心に残った。自分たちは平和を求めて「9条」を守ろうと言っている。その自分たちは、言わば小市民的な生活が守られているところからの発言であり、運動である。一方、ワーキングプアの青年たちは将来に対して希望を持つことができず「戦争が望みだ」と言っている。この両者の間にはコミュニケーションができない深い溝があるのではないか、と。

また、「資本主義はなぜ自壊したのか」を書いた中谷巌氏は、ご自身が書いた本の中で下記のように語っている。この高い本を買って読んでいるのは豊かな人たちで、その人々は派遣切りで職場と住む所を無くした人のことを理解でき難いのではないか、と。

これらの指摘のように、人と人の間で、互いに理解できない、想像できない 結び合わない隔たり、壁ができているのは確かであろう。社会が立場によって「分断」され、関係が断ち切られている。これは、時代を仕切ってきた人々が巧みに作り上げた体制だと私は思っている。私たちは経済と利便を求める価値に流され、他人の苦しみや悲しみを想像し、思いやる心が極めて貧しくなってしまった。今回の金融危機が、人間回復の道筋を求める良い契機になれないだろうか。