◇牧師室より◇

紅葉坂教会は「聖餐式」について学びを積み重ね、未受洗者も聖餐に与っても良いと教会総会で決議した。北村慈郎牧師は決議に基づき、未受洗者に配餐を認める聖餐式を行った。

教団の常議員会は、北村牧師に教団の規則である「教憲・教規」に違反するとして@「教師退任勧告」を決議した。北村牧師はもちろん従うことはなかった。常議員会は次にA「北村慈郎教師に対する戒規申立を行う件」を決議した。罰則を行うことのできる教師委員会に調査と執行を促す決議である。この二つの決議に対し、先に行われた教団総会は下記のような採決を出した。@に関して出された「取り下げを要望する件」は否決した。Aに関しては「無効を確認する件」が可決された。教団総会は、未受洗者に配餐する教師への退任勧告は認めたが、戒規申立は手続き上無効とした。私は、未受洗者への配餐は「教憲・教規」違反であるが、罰則を科すには時期尚早という意思表示ではないかと思っている。また、「教団内諸教会の信頼関係を守り、真実の対話の道を確保する件」という議案が出された。未受洗者に配餐などを行っている教師は教団の役職にふさわしくないとする議案であるが、これは否決された。紅葉坂教会はホッと安堵したことであろう。教団は切り捨てることを自重し、多様性を尊重しようと少しばかり動いたと言えよう。

この教憲・教規に関して興味深い出来事が起こっている。信仰職制委員会は「伝道所での洗礼式執行について答申」したという。現在の教規では伝道所に役員会は存在しない形になっている。伝道所で受洗を希望した場合、それを承認する役員会がないので執行できない。親教会・関係教会の役員会で承認され、洗礼式を行い、籍も親教会・関係教会に置かなければならないという答申だそうである。教規に忠実に従えば、そのように扱わなければならない。

私たちの「洋光台港南台伝道所」時代、多くの洗礼式と入会式を行ってきた。これは教規違反であった。しかも、私たちの伝道所の関係教会は近隣8教会であった。どの教会の役員会に承認を求めればよいのか。笑ってしまった。教規と教会・伝道所の現実が明らかに乖離している。伝道所の役員会設置を一刻も早く条文化しなければならない。

最近の教団執行部は権威主義的な上位下達の窮屈な管理を推し進めているようで、私は違和感を持つ。主イエスの時代、民衆は「神の律法」にがんじがらめに縛られていた。主イエスは神に愛されているあなたはあなたらしく生きよと、自由と解放を福音として表された。