◇牧師室より◇

今年の特別伝道集会は同志社香里中学・高等学校の聖書科の教師をしておられる富田正樹牧師を講師にお招きした。今まで、お招きした講師の中では最も若い講師であった。中学・高校生は聖書やキリスト教に関心を持ってはいないだろう。彼らに教えることは並大抵ではない。時代の言葉と感性で生徒と向き合っておられる。富田先生はパワーポイントを利用し、分かりやすく、そして若々しいお話をしてくださった。 

講演は「こんな生き方あっていい〜聖書から読む人生論」と題して、旧約聖書から新約聖書まで、多くを引用しながら話された。その中心はマタイ福音書25章の「タラントンのたとえ」であろう。ある主人が僕たちに5タラントン、2タラントン、1タラントンを預けて旅に出た。52タラントン与った者たちはそれを元手にして、それぞれ倍の収益を上げた。1タラントンを与った者はなくなることを恐れ、地面に隠しておいた。主人が帰って清算した時、倍に増やした者たちはお褒めを受けた。しかし、地面に隠しておいた者は「怠け者の悪い僕だ」と叱責され、外の暗闇に追い出された。1タラントンは20年分の給与であり、神は人間に沢山のタラント、能力(ギフト・賜物)を与えてくださっている。このギフトを無駄にすることなく、活用して生きるように、また他者の喜びになるように用いる時、幸いな人生になるのではないか。タラントの少なさを嘆くことの多い私たちに積極的な人生への呼びかけを話された。

礼拝説教はルカ福音書16章の「不正な管理人のたとえ」から「人生はギフト〜たとえ問題だらけでも〜」と題して説教された。神から与えられたギフトは最後に清算する返済期限付きの「預かりもの・借りもの」のようなものである。このギフトをもてあまし、更に大きな負債へと膨らまして人生に行き詰まることがある。不正を働いた管理人も、主人から油、小麦などを借りていた人たちも皆、人生の問題に苦悩している人々である。彼らは策を労して互いの負債を軽減し合った。ここには、弱い者の苦悩を和らげ、肩の力を抜いて生きよという主イエスの優しさがあるのではないかと話された。

人生は神から与えられたギフトで、講演ではそれを生かそうと、説教では生かせずに困惑しようとも道は開かれると、表裏の関係で話された。