牧師室より

神奈川教区総会が21日(土)、清水ヶ丘教会で持たれた。今回の総会で注目すべき二つの議案が決議された。一つは、「教団総会に『北村慈郎教師に対する常議員会決議 教師退任勧告を撤回する件』を議案として提出する件」である。紅葉坂教会は「聖餐式」に関する学びをし、未受洗者にも配餐することを総会で決め、実施している。山北教団総会議長は紅葉坂教会の北村慈郎教師に対し「教師退任勧告を行う件」を常議員会に提案し、29名中16名の賛成を得て可決し、退任勧告書を送付した。教師に対する「退任勧告」は極めて重大な事例である。教団内の諸教会では、山北議長が強行した退任勧告決議に賛否両論が激しく渦巻いている。この件に関し、紅葉坂教会や教区に問い合わせや話し合いがないまま、一方的に退任勧告決議をすることは、教団、教区、諸教会の信頼関係を損なう。また、聖餐式に関して、未受洗者も配餐に与れると理解する聖書学や宣教論に基づき、開かれた聖餐式を実施している教会も少なくない。「教憲・教規違反」という一点のみで退任させて問題解決を図ることは教会の取るべき方法ではない。上記のような理由で「退任勧告決議」を教団総会で撤回させようとする議案である159名中賛成82名で可決された。 

もう一つは、「教団総会に『聖餐のあり方について慎重かつ十分に論議する場を教団内に設置する件』を議案として提出する件」である。教区の形成基本方針は「性急に一つの理念、理解、方法論に統一して他を切り捨てないよう努力」し、「謙虚に対話し、自分の立場を相対化できるように神の助けを祈り求めることによって、合意と一致を目指すことができると信じる」と謳っている。156名中賛成93名で議決された。議論する場の設置に賛成しない人がいることは驚きであるが、政治的ではなく、神学的な議論の深まりを期待したい。