牧師室より

私は「港南台9条の会」の世話役の一人に加わっている。昨年、小中陽太郎氏を招いて発足会を教会で行った。区は違うが、隣町の「洋光台9条の会」も同じ日に発足会を行った。今年は二つの「9条の会」が共催して「二周年記念集会」を持った。礼拝堂は満席になるほど集まった。

女性グループによるコカリナの演奏と若い女性のフルート二重奏があり、清楚できれいな演奏を楽しんだ。

続いて、関東学院大学の林博史教授が「今、沖縄から学ぶこと−憲法九条にふれて」と題して、沖縄戦と集団自決について話された。林教授は「沖縄戦と大衆」という本を著された。その本で、「集団自決命令」を軍人の誰が出したかは分からないと書いた。それを、歴史を改竄しようとする人々に「集団自決は軍の命令ではない」と誤用された。林教授は沖縄戦と集団自決の実態について詳しく検証し、軍の強制によるものであったと書いたと力説された。

328日、大阪地裁は「集団自決については日本軍が深く関わったもの」と認定した。「沖縄ノート」を読み違えて訴えられた著者の大江健三郎氏は月刊誌「世界」で下記のように書いている。「もうひとつ、この裁判をつうじて私の新しくしたことは、老年の作家として残り時間は限られていますが、この国に、再び、美しい殉国死という言葉が、その作り手・使い手のいかがわしい意図は見え見えであるにもかかわらず復興されようとしている以上、それに抵抗することを、自分の仕事の核心に置くという決意です。」大江氏の誠実さに敬服する。

林教授は集団自決と「玉砕、特攻」は民間人と軍隊の違いはあるものの、構造的に共通していると指摘した。自らが志願した形になっているが、それは建前で、実際は「誘導・強制」があったことは間違いない。また、軍隊は国民の命や財産を守るものではなく、時の体制を補完、維持するのが目的であることを多様な出来事と証言を引用して話された。

そして最後に、世界的な意義を持つ憲法九条に関しては色々な見方、関わり方があるが、それらを互いに認め合った上で、連携して運動を進めようと括られた。