◇牧師室より◇
岩国教会の大川清牧師が、岩波の月刊誌「世界」に「それでも岩国は負けない」と題して寄稿している。
座間に米軍司令部を設置するため、空母艦載機を岩国基地に移転するという。岩国市民はこれに圧倒的多数で反対した。井原市長は民意を背景に受け入れを拒否した。すると、政府は35億円の補助金の支払いを停止した。井原市長は予算案を組み替えて、市議会に提出したが、「来るもの(艦載機)は来る、貰うものは(補助金)は貰っておけ」と否決され続けた。最後、予算を通すことと引き換えに辞任、出直し選挙が行われた。
民主主義と地方自治が問われる選挙として、全国的な関心を集め、多くの支援とカンパが寄せられた。しかし、根拠のないデマや中傷が飛び交い、企業ぐるみ・組織ぐるみの動員や圧力が加わり、更に「国策」を強行しようとする政府が総がかりで挑んできた選挙になった。民意は逆転し、井原市長は僅差で敗北した。すると、手の平を返したように補助金は支払われるという。
大川牧師は次のように書いている。「前市長を最後まで支えることができなかった私たち市民の力不足と、全国から支援して下さった方々に申し訳ない思いで一杯です。しかし、これで私たちの闘いが終わったわけではありません。こんな醜いやり方に屈してしまえば本当に岩国に未来がなくなってしまいます。これからますます絞めつけが厳しくなっていくでしょうが、私たちは負けません。いや負けてなるものか ! という思いです。これからも岩国を支えてください。」
政府は米国の世界戦略を無条件に受け入れ、座間の司令部設置、沖縄の基地増設、横須賀の原子力空母母港化など、あらゆる協力をしている。米軍兵士による事件・事故に対してもなおざりな抗議を表すだけである。後期高齢者の保険料は年金から天引きするが、米軍への「思いやり予算」は変わらずに提供し続けるという。
アメとムチに懐柔されない自立した市民の声と運動が真の民主主義を生み出していく。