◇牧師室より◇
聖書の伝える神信仰は「礼拝」を守ることを最も大切なこととしています。神を崇めることによって、天にある神と地にある人間の関係を確認し、神に愛され生かされている救いを喜ぶことができるからです。キリスト教は主イエスが復活された日曜日を礼拝日としています。
旧約聖書時代・ユダヤ教は創世記の天地創造物語に記されているように、神は6日間で天と地とそこにあるすべてのものを創造し、7日目に安息された、その安息日を礼拝日としてきました。天地創造物語は紀元前6世紀のバビロン捕囚時代に現在の形になったと言われています。バビロン帝国の支配は権力による人間否定の「混沌・カオス」そのものでした。奴隷生活を強いられた捕囚の民は、神による1日目から6日目まで秩序正しい創造信仰を告白し、バビロン帝国の混沌支配に対する強力な抗議表明としました。また、奴隷たちは休日を与えられていませんでした。彼らは休日を勝ち取るため、聖別された安息日を礼拝日として要求したのです。安息日の厳守は出エジプト後ではなく、バビロン捕囚後であると言われています。天地創造信仰と安息日の規定は、神信仰にかけた抗議と抵抗の中から人間らしく生きることを求めての告白なのです。
礼拝は、聖書を通して神の愛を知らされ「私が私であってよい」という神からの是認を聞く個人的な営みです。同時に、捕囚の民が人間回復のための安息日を要求したように、礼拝は社会的な事柄です。
現在の日本の労働問題に関して@働きたくても働く場が得られないこと A働いても働いても生活できないこと B給与は高いが、猛烈に働かされていることなど、深刻な人間疎外の状況が生まれています。自分自身を取り戻すために、静かに思い巡らす時が必要でしょう。
日常生活から離された礼拝で神への祈りを込めて、自分と社会を問い直すことに大きな意味があります。預言者イザヤは「お前たちは、立ち帰って 静かにしているならば救われる。安らかに信頼していることにこそ力がある」と語っています。今年度も礼拝を守り、神から力をいただく信仰生活をご一緒に励みたいと思います。