◇牧師室より◇
Yさんはタイのチェンマイに建てた「さんたの家」で家庭教育を受けられなくなった子供たち14名を養育している。できるだけ、家族、親戚の間で育てるように対応しているが、どうしても受け入れざるを得ない子供たちが増えているようだ。また、貧しい子供たちの教育や生活支援なども行っている。
昨年からタイ人牧師を招いて「子ども教会」を始めた。恒例になったクリスマス会には奨学金を受けている小学生やその学校の先生など200名もの人が集まったという。子供たちが通っている小学校の校長先生もクリスマスソングを思わず歌ってしまったそうである。キリスト教信仰に基づく働きであることが形になって現れてきている。
Yさんは「さんたの家」開設5周年の記念事業として新しいことを計画している。200キロくらい北に400人ほどのラフ族が暮らしているバーン・ファイマファンという小さな村がある。村人は農業に従事しているが、親たちの多くは文字が読めない、子供たちは教育を受ける機会を得ていない。この村に「子どもセンター」を作って就学させる。そして、子供だけでなく、キリスト教思想を基本として村全体の社会開発、国籍の取得、人権の保護、保健衛生・成人識字教育などを進め、更に農業、畜産指導を通して自立を目指すという。このプロジェクトは近隣の村々に麻薬汚染が広がっている中で、この村では食い止めたいという大きな目的がある。
犬養道子さんは開発途上国の支援はお金だけではなく、まず何年か住民と一緒に生活してみて何が必要かを共に考え、その必要に応じて支援することが望ましいと書いていた。Yさんはタイに永住して8年になる。友人を得、事情もよく分かってきたのではないか。子ども教会の牧師、バーン・ファイマファン村の村長、開発に当りたいという夫妻と共に、このプロジェクトを進めようとしている。Yさんの献身はますます深まりと広がりを増している。働きに敬意を表し、支援していきたい。