牧師室より

「本のひろば 2007年特別号」で「言葉が伝える豊かな心 本を読もう」と題して、福音館書店の相談役・松居直先生と加藤常昭牧師の対談を掲載している。本を読むことの大切さを語り合っている。本を読むことによって、私たちの心は確実に耕されていく。言葉の重みや思索することの楽しみを教えてくれる。

お二人のコミュニケーションに関する発言を紹介したい。

松居先生は下記のように語っている。「人間のコミュニケーションは言葉だといわれているけれど、その55%は表情、次の35%は声の調子としぐさ、残りが言葉で10%と。だから言葉の向こうに、90%のいろいろなものがあって、それを感じないと… 。」10%の言葉に、色々なものが重なり合ってコミュニケーションが成り立っている。

著名な説教者である加藤牧師は説教に関して多くを語っている。そして、最近多くなってきたラジオやテレビなどでの説教について下記のように語っている。「要するに電波による説教をどう考えたらいいか、そのための説教学があるくらいですからね。それで議論になるんですよ。時間をかけて礼拝に行かなくても、スイッチをひねれば説教が聴ける。ある人なんかははっきりと、『自分の教会の牧師よりいい説教が聴ける』と。だから、これは言葉の問題だけでなく、具体的な『教会の群れに生きる』とか、そういう問題まで入ってきます。私はやはり、生身の人間が神のことばを語っている説教を聴く体験と、テレビの前でソファにゆったりと座って、時にはコーヒーでも飲みながら聴く経験とは、『ずいぶん違うのじゃない?』と言うんですけれども。」

今日では、電波を通じての情報は多様になり、多くのものを受けている。これらバーチャルな言葉に翻弄され、人との直接的な交わりが苦手になっているのではないか。顔と顔を合わせた、体全体から伝わってくる、生きたコミュニケーションを大切にしたい。