牧師室より

「平和聖日」に高座渋谷教会の菊池礼子牧師をお招きした。礼拝ではロマ書1218節の「すべての人と平和に暮らしなさい」という聖句を中心に説教された。パウロは「喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい」と互いに受け入れ合って「共に生きる」ことを勧めている。それは、神が命の息・霊を与え、全ての人を愛してくださっているからである。「身分の低い人と交わりなさい」という言葉は「小さくされた人と共に歩みなさい」と社会的に差別・抑圧されている人を尊重しなさいという意味である。そして、敵対する者をも愛を持って受け入れなさいと語っている。「すべての人と平和に暮らしなさい」という勧めは終末論的な希望に基づいた言葉で、ここから悪の連鎖を断ち切って、平和な暮らしが実現していくと、語られた。

昼食後、「差別をしない・させない・許さない」と題して講演された。菊池牧師は幼少時からの差別に関わる話から始められた。そして、父親の菊池吉弥牧師の差別発言を紹介し、それと誠実に取り組んでいる姿勢を見てきた。また、ご自分が関わった臨床牧会訓練中での在日韓国人への差別事件について苦しんできた。これらの経験から、差別問題を宣教の課題として受け止めるようになった。差別はする者は気づかないが、された者は大きな傷を受ける。差別する者の見えない自らの差別性に取り組み、差別を温存しない闘いから人間解放の道が開かれる。

そして、差別は社会的・歴史的文脈の中で捉えられると語り、現在沖縄に差別が集約されていると続けられた。沖縄への差別政策は戦前、戦中、戦後も変わることはない。現在米軍と日本政府はジュゴンの生息する辺野古に新しい基地を建設しようとしている。菊池牧師は沖縄問題に深く関わり、基地建設を阻止する運動のため、しばしば沖縄に足を運んでおられる。そして来年、高座渋谷教会を辞任し、単身赴任で沖縄に行かれるという。最後に、沖縄に行って見てほしい、研修も大事だが、具体的な行動を起こすことを力説された。そして、差別される者の悲しみに共鳴することが主イエスに従うことであると括られた。