牧師室より

ブッシュ政権は米国の保守的、原理主義的なキリスト教会が支えていると言われている。しかし、安倍首相が訪米した時、米国の諸キリスト教会、また諸キリスト教団体が連名して、安倍首相に下記の要望書を渡している。平和を願う教会の発言の全文を掲載したい。

「敬愛する首相殿

私たちは日本の憲法改正について深く憂慮する宗教者の団体です。信仰の立場から平和を構築し、紛争解決のための手段としての暴力を放棄するように招かれている私たちは、日本国憲法9条が、国際的平和と安全のためのユニークで力強い貢献であるとして支持します。9条が変えられることに私たちは憂慮し、また地域の安全と調和が脅かされることを恐れます。
 日本の軍隊をアジア太平洋地域における米国の安全保障戦略の担い手とするために、米国政府が日本政府にたいして憲法改正を強く要請していることに私たちは気づいています。しかし、信仰者として、私たちは、9条こそ武力では決して実現しえない平和と安全を実現するもっとも効果的かつ真実な道であると確信しています。戦争と軍事力の行使の放棄により、日本は地域の安全の要となっています。第二次大戦以後60年の間、日本の侵略によっていのちを失った人は一人もいないのです。米国がこのような記録を誇ることができたらと思います。

また、日本の政策決定は孤立したものではなく、アジア太平洋地域と、世界に影響を与えるものです。すでに経済・軍事大国である日本は、ただちに不安定きわまりない危険な渦に巻き込まれ、その再軍備は味方とみなしてきた隣国からさえも反発を余儀なくされるでしょう。憲法制約を持たない日本の軍隊の存在は、地域における軍拡競争を加速化し、国々は防衛を強化する可能性もおおいにあるでしょう。
 日本の国民は、このような変化を歓迎してはいません。私たちの信仰における兄弟姉妹たちも同じ思いです。9条は、混乱した危険な世界において平和と繁栄に導くもうひとつの道として、誇りとアイデンティティの源となっています。私たちは日本の人々に連帯します。同時に軍事化した共同体に居住し、暴力の脅威にある人々を思い、安倍首相にたいし、日本の平和憲法を変えず、9条を守るよう要請いたします。私たちは米国にたいしても同じ要求をいたします。」

USA(キリスト教協議会)、UCC(米国基督教団)など、組織賛同38団体(多くのカトリック教会・団体を含んでいる。)