牧師室より

53日の憲法記念日には、私は毎年「集会とデモ」に参加している。今年も日比谷公会堂で行われた「53憲法集会−生かそう憲法、守ろう9条」の集会に参加してきた。今年は例年に比べ、参加者が多かった。憲法施行60周年もあるだろが、やはり改憲に向かっていることへの危機感があるのであろう。

鈴木伶子氏が「平和を実現するキリスト者ネット」を代表して、力強い開会の挨拶をされた。挨拶を聞いていて、30数年以上前だが、お父さんの鈴木正久牧師が憲法記念日にされたスピーチを思い出した。平和憲法は終末論的希望を託した世界の将来にとって大きな意味を持つ憲法であるという内容であったと記憶する。戦争の放棄、軍備と交戦権の否認は終末論的希望であろう。この希望を今、生きるというのが現憲法である。現実的ではないと批判されている。しかし現在、軍隊を持たない国は27ヶ国もある。そして、増えていきそうである。

私は今の改憲論は逆転していると思っている。99条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と規定し、憲法は権力に歯止めをかける機能を果たすと謳っている。ところが、今の改憲論は国・権力者が発案し、進めようとしている。ここでは、権力者に都合の良い憲法を目指すことは火を見るより明らかである。事実、国が国民を支配、管理するような逆転した憲法草案が出されている。

そして、改憲の中心は92項を変えて、米国の世界戦略に追従し、海外派兵への道を開こうとしていることは確かである。安倍首相は現憲法下で「集団的自衛権」を可能にする調査会を発足させている。米国と共に軍事力で制圧することは世界からの孤立と悲劇を招く。

アジア諸国は過去の経験から日本の憲法改定に危惧をいだいている。戦争や混乱の中で苦悩している国々は日本の憲法を羨ましがっている。米国政府だけが強い改憲要求をしているが、米国の諸教会は連名で訪米した安倍相に信仰に基づいて「改憲するな」との要望書を渡している。次週、その要望書を掲載したい。