牧師室より

今年の特別講演会は福音館書店相談役の松居直先生のお話を聞くことができた。最近の子どもの殺人事件から、加害者は言葉を深く受け止める環境になかったのではないかと話し始め、言葉の持つ意味と力と命について多角的に話された。私たちは言葉の世界に囲まれている。その言葉を聞く、また読書をするためには受け入れる素地を養わなければならない。それには、子どもは母親から言葉をもらい、伝承することが多いので、豊かな言葉を用いて会話する、また遊びの中で五感を通して吸収する多様な体験をすることが大切である。生きた会話と体験の中で、言葉を知り、言葉の世界に深く入り込み、事柄の真意を実感し、共有するようになる。子どもはよく聞いて、貪欲に学んでいる実例をあげられた。

絵本は大人が子どもに読む本であり、絵と文字の二つを読むことである。子どもは絵だけでも物語を理解することができる。そして、読む時は必ず音読する。親が子どもに絵本を読むことによって、想像力が養われ、共にいる時間を喜ぶことができる。

言葉も愛も目には見えない、しかし、本当に大切なものは見えないのではないか。見えない言葉をしっかり受け止める受け皿を養うことの大切さを力説された。

27名もの新来会者があった。幼稚園関係にもビラを配ったが、松居先生の働きの広さを改めて知らされた。昼食をしながら、福音館書店のことを伺ったが、絵本にかけた先生の情熱に感嘆した。

特別伝道礼拝で鎌倉恩寵教会の荒井仁牧師の説教を聞いた。先生も最近の子どもに関する痛ましい事件から話された。関わっている児童ホームの子どもたちが心を開いていく嬉しさ、そしてご自分の家庭のことなどを率直に話された。主イエスは、人数に数えられていなかった子どもたちを無条件に受け入れ、何もできず、依存性に生きる彼らを「天の国はこのような者たちのものである」と祝福された。神は小さく弱い者を愛し受容してくださる。この事実から子どもに向き合い、神の導きによる出会いを大切にしたいと話された。