牧師室より

「港南台9条の会」の「発足のつどい」が私たちの教会を会場にして行なわれ、120名ほどの人が集った。私は色々な「9条の会」に参加しているが、どの会も盛会で熱気にあふれている。憲法を改定し、戦争のできる国になることへの危機感が市民の中にあると実感している。「9条の会」は全国に四千を越えるまでになったと言われている。市民運動がこれほどの広がりを見せたのは初めてではないか。

「発足のつどい」で作家の小中陽太郎先生が記念講演をされた。私たちの依頼に、小中先生はお忙しい中、即座に快く応じてくださった。

講演は多岐にわたった。「ヨナ」や「タラントンの譬え話」などの聖書の話をふんだんに入れて話された。また「べ平連」に関わった出来事などからも、スクリーンに映して当時を解説された。あまりに多岐にわたった講演だったので、紹介し難い。下記のような勧めであったと受け止めている。

平和はすぐにはこない。人間と社会は多様であるから、「9条の会」の運動は硬直した形で進めてはならない。仮に憲法が変えられても、それは文字上のことである。憲法は普遍的な真理を語っているので、私たちは日常生活の中で、その普遍的真理を淡々と生き、表していけばよい。そのくらいの心構えで進めるべきであろう。

様々な市民運動に関わった先生は苦難と悲惨を避けられない人間と歴史のリアリズムを知った上で、なお楽観的(信仰的)な視点で話されたのではないかと思う。

会場からの自由発言の時間、沖縄戦の悲惨な体験や不当解雇と闘った厳しい裁判など、ご自分の経験の中から9条や人権尊重の憲法の運用についての熱い思いを語られた。