牧師室より

新年おめでとうございます。

「ところが、『ヘロデのところに帰るな』と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国に帰って行った。」 マタイ212

昨年は、幼い子供たちが無残に殺される胸の痛む悲しみと利益のためなら人の命を何とも思わない悪徳企業への怒りを抑えられませんでした。

私たちは今、「別の道」を模索して歩み出さないと人と社会が崩壊しそうです。「死への道」ではなく、主イエスに出会って、別の「共に生きる道」を探し歩みたいと願っています。

隆雄は、パウロがエフェソ教会の長老たちに別れの説教をしたミレトスに立ち、感激しました。

悦子は、多忙な一年でしたが、守られて過ごしました。今年は新しい楽しみを探したいと思います。

今年もよろしくお願いいたします。

あなたのこの年の歩みの上に主イエスの祝福を祈ります。

2006年元旦

私たち夫婦の今年の年賀状である。

1991年にソ連の共産主義体制が崩壊した時、米国主導の自由主義体制が勝ったという人々がいた。しかし、私は、自由主義体制が勝ったのではなく、別の第3の道を模索しなければ世界の将来はないと思っていた。それは、米国一国が我が物顔に闊歩するようになることを恐れたからである。そのことを「牧師室より」に幾度か書いた。

私の不安は的中しているように思う。米国の圧倒的に強い軍事力と経済力で新自由主義と言われるグローバリゼーションが進行している。軍事力で民主主義を打ち建てるということがそもそも不可能である。経済の自由化は競争原理の導入でしかない。強い者と弱い者が自由の下で競争したら勝敗は分かり切っている。米国に追従する日本も同じ道を歩いている。嫌な言葉であるが、「勝ち組」と「負け組」とに分けられ、「負け組」に自己責任が負わされている。社会の荒廃は避けられないと思う。

日本はいよいよ人口減少段階に入った。経済的に弱まることは必定であろう。この時、贅沢でなく利便性に欠けても、心豊かに安心して生活できる、今までとは違う生き方を見出すことが大切ではないか。

占星術の学者たちは主イエスにまみえた後、「死から命」への別の道を通って帰って行ったとある。私たちも主イエスを信じる者として、「共に生きる」道を歩み、それを証しすることが求められている。