牧師室よ

筑紫哲也氏が「週刊金曜日」の「『蚊帳の外』ジャパン」というコラムに、国際的に活動を続けてきた経済人から聞いた話として、下記のように書いている。中国、韓国をふくむアジアで、日本を抜きにした相互協議、協力の話がいろいろな分野にわたって進んでいて、それが常態になっている。靖国問題、歴史認識、改憲の動きにアジア諸国は日本バッシング(叩き)をしてきたが、今や日本と関わっても仕方ないとパッシング(外し)になっている。そして「小泉効果でしょうね」と語ったと言う。筑紫氏は、蚊がいなくなり蚊帳を知らない世代に「蚊帳の外」が通じないのは当然であると皮肉っている。

米国の週刊誌「ニューズウィーク」に「四面楚歌の日本」という記事が掲載された。その内容は下記のようなものであった。元西ドイツ首相のヘルムート・シュミット氏が来日して講演をした。外国の訪問客からは、お世辞を聞けるものと期待したが、シュミット氏は歯に衣を着せずに、日本人は戦争責任問題をあまりにも軽々しくあしらっていると批判し、「悲しいことに、日本には本当の友は国外にあまり多くはない」と語った。この「ニューズウィーク」の記事を読んで衝撃を受けた、日本緊急援助隊代表のケン・ジョセフはインターネットで探したが、日本のジャーナリズムはシュミット氏の講演を全く報じていない。

ジョセフ氏は「キリスト新聞」に下記のように投稿してきた。「国内では『他国と協力し合い、アジアのリーダーとなっていくためには日本は変わっていかなければならない』などの理由をつけ、憲法改正や自衛隊を自衛軍として位置付けるなどの問題が取り上げられ騒がれているが、まさにそれこそが日本を孤立化させ『真の友のいない国』と言わせている理由なのである。」憲法9条を変えて普通の国になることを目指しているが、「世界でただ一つ正しい光を発することのできる立場をなぜ手放そうとするのか」と訴えている。

憲法を改定し、戦争のできる国になることはアジアから孤立し、世界から信頼を失う。私たちの力は本当に小さいが、自分の周りから改定に反対しようと声を上げていきたい。それが真の友を持つことに繋がるのではないか。