◇牧師室より◇

大江健三郎氏など9名が「九条の会」を立ち上げた。これに呼応する形で、全国に3,000以上の「憲法9条を守る会」が作られている。私も地域の「港南台、港南区、神奈川県」の三つの会に加わり、諸々の宗教者が集っている「宗教者九条の和」の賛同者になっている。先日、ニュース・レターが送られてきた。日本基督教団の牧師の参加は多い。神奈川教区の二人の牧師のメッセージを紹介したい。盛谷祐三牧師(茅ヶ崎教会)「『押し付け憲法』などと言われますが、無理やり押し付けられたわけではありません。戦争の惨めさや愚かさをいやというほど思い知らされた人々は、この憲法を喜んだにちがいありません。戦後の日本は、この憲法によって生きてきました。アジアや世界から信頼されてきました。この日本の宝を放棄すべきではありません。」依田康子牧師(横浜本郷台伝道所)「殺さない、殺されない、殺させない世界の実現は宗教者の務めだと思います。宗教の違いを越えて連帯しましょう。」地域、分野別で「草の根運動」が展開されたのは初めてではないか。民主主義の根源的な運動を見る思いがする。

 衆議院選挙で、自公の連立与党は議会の3分の2を越えた。民主党の代表に前原誠司氏が選ばれたが、氏は憲法改定論者である。国会では憲法改定がいつでもできる状態になった。国民投票で過半数を取れるかどうかにかかっている。自民党は国民投票に関し、国民間の情報交換を規制する法案を準備しているという。

 自衛権は自然権で、国連も認めているという議論がある。しかし、今の憲法改定は海外での米軍支援を可能にする議論に思える。あの憲法改定は米国の圧力であったという日を招いてはならない。現憲法によって今まで、日本は戦死者を一人も出していない。武器の輸出禁止、非核三原則など、世界に誇れる平和貢献をしてきた。国際貢献なら軍隊以外で、いくらでもある。

 国会が憲法改定を議決したとしても、国民が拒否することができれば、民主主義は根付き、世界に平和を発信できる。私たちは今「憲法を活用して、平和に生きよう」という声を上げていきたい。