牧師室より

山本将信牧師のメル友の色平哲郎医師にバグダッドのモハメド医師から送られてきたメールを転載したい。「日本人男性の誘拐・殺害事件の背景を説明しなければいけないと思っています。イスラム教の指導者たちの調整が機能していない状態にあり、事態は最悪です。その原因は、ほとんどの指導者が刑務所に送られ、残りはイラク国外に逃げてしまったことです。だから、イラク国内には、アメリカ軍のための軍隊か、テロリストしかいないんです。私たちの現状を想像できますか? お金のための軍隊か、米軍をイラクから追い出すための軍隊しかいないのです。もうイラクに日本の人を送らないでください。バグダッドで私たちは、より困難な生活を送っています。毎日、バグダッドの市民に対して、3〜4回の爆撃が行われています。昼でも夜でもです。とくに早朝に爆撃されます。アメリカ軍の戦車が一日に何度もハイウェイを通過し、よく彼らは攻撃されます。だから、ハイウェイを使うことができません。ハイウェイで攻撃に会う可能性がきわめて高いので、緊急事態でない限り、誰もハイウェイを使いません。また、イラク国軍はアメリカ軍に指揮され、彼らの命令下で働いています。だから、彼らも攻撃の対象にされるのです。不思議に思ったかもしれませんが、先週、Diala49人ものイラク人兵士が殺されたのは、このためです。さらに、イラク国外に逃げようとした、医者や科学者も殺されています。イラク国内にいるイラク人も殺されるかもしれないという脅威にさらされています。とりわけ特別な立場にいる人、例えば政府機関で働いている人や特定分野で有名な人にとっては、その危険性がより高くなっています。もちろんのこと、外国人が殺される確率は、それよりも高くなっています。だから、全ての日本の方に、自重してイラクから離れることをお願いしています。そして、日本軍の早期撤退をお願いします」

人質から解放された高遠菜穂子氏は「戦争と平和」を上梓し、バグダッド在住の青年の声を下記のように伝えている。「日本が軍隊を送ることに関しては、そうですね、アメリカにとってよいアイディアのように聞こえる、とでも言いましょうか。なぜならアメリカ政府は、自ら招いた混乱から抜け出せず、溺死寸前。自身が陥ってしまった困難な状況に手を貸してくれる、他国の政府に期待しているわけですからね。(中略)あなた方の政府は、さっさとゲームから抜け出すべきです。日本人の評判を保つためにも、イラク人を失望させないためにも。われわれはもう、新たな敵はいりません」