◇牧師室より◇

 岩波の「世界−8月号」は「日本の現実−私たちの直面する課題とは何か?」を特集している。「直視すべき12の指標」を上げ、そのGで「言論の自由度」を論評している。

 「国境なき記者団」は2002年に「世界報道自由度ランキング」を発表した。その時、日本は166ヶ国中26位とされた。2003年度はイスラエルと同じ、44位に落ちた。ちなみに、上位は上から、フィンランド、アイスランド、オランダ、ノールウェイ、デンマーク。下位は下から、北朝鮮、キューバ、ミャンマー、ラオス、エリトリア、中国となっている。どのような基準で計られているか分からないが、日本の言論の自由度が下がったことに関し、報告している立正大学の桂敬一教授は「ジャーナリストやメディア関係者自身が、権力規制に鈍感だったり、それに対するたたかいを、一貫して団結して継続することができなくなっているところからくる部分が大きくなっているのではないか」と解説している。

 「海外メディアから見た日本」で「インディペンデント」のデイヴィッド・マックニール特派員は日本のメディアに関して3点を挙げている。

 一つは「皇室報道」である。皇太子の妻・雅子さんの健康状態が取り沙汰されている。天皇家の家族不和などの噂が飛び交っているが、皇室報道のタブー化によって公になっていない。今までの皇室関係の報道は外国メディアが常に先を越している。日本のメディアは恥ずかしくないのかと問いかけている。

 二つ目は「自衛隊派兵と憲法九条」である。イラクで人質になった人々が帰国した時、国中から敵視されているような痛々しい彼らの姿が放映された。イラク攻撃は無法な開戦であったことが明らかになりながらも、日本は憲法九条を無視して派兵した。テロリストの標的に追い込んだのは小泉首相自身である。その小泉首相の人質に責任を負わせる発言にメディアは乗った。学校全体でナイーブな子どもをいじめているように見えたと書いている。

 三つ目は「日の丸・君が代」問題である。強制に反対する教師たちは孤立無援の中で勇気あふれる闘いをしている。この状況を「インディペンデント」に「平和主義の衣を脱いだ日本、軍国主義の国旗を再掲揚」とタイトルして記事にしたという。

 私たちは権力に擦り寄ったメディアを鵜呑みにしている。そして「怒り」を忘れている。米国高官から憲法改定を促されても「内政干渉」と怒ることなく、我が意を得たりとする日本政府高官も理解できないが、メディアからの反論も聞こえない。権力を批判する声をなくしたら、弱い者から切り捨てられていく。