◇牧師室より◇

 国際基督教大学の平和研究所主催の「国際シンポジウム」の案内状をいただいた。岩波の月刊誌「世界」に1973年から88年まで連載された「韓国からの通信」の匿名記者「TK生」は池明観先生であったことが、昨年公表された。その池先生の「抵抗を紡ぐ−『韓国からの通信』の頃」と題しての講演があると聞き、出席した。韓国の軍政下、命を賭して民主化運動を担った人々の勇気と自己犠牲に、私は本当に励まされ、希望をもって生きる信仰の原点を示された。多くの日本人が感動し、韓国の民主化運動に連帯した。そして「韓国からの通信」は世界に発信され、軍事政権を大きく揺さぶった。スパイ映画のように秘密裏に、民主化運動の諸文書と活動が池先生に伝えられ、その実態を連載、報告された。「世界」の編集長・安江良介氏との出会いは「天の配在」であったと語っておられた。歴史に刻まれる、革命的な働きであった。

 ところが池先生は、あの運動が継承されてない、活躍した人々が生かされてないと嘆かれる。今日の状況に悲観的にならざるを得ないが、この中から希望ある楽観を見出していきたいと語られた。