◇牧師室から◇

 石原慎太郎東京都知事は「三国人」発言など、差別発言を止めない。その都知事の発言として女性週刊誌に下記のように掲載されたという。「これは僕がいっているんじゃなくて松井孝典がいってるんだけど、『文明国がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァなんだそうだ。女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄な罪です』って。男は8090歳でも生殖能力があるけど、女は閉経してしまったら子供を産む力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害だって−。」呆れ果てる発言である。

 更に都知事は、田中均外務審議官の自宅に発火物と見られる不審物が仕掛けられた事件について、「爆弾が仕掛けられてあたり前だ」と発言した。マスコミや多くの人の批判を浴びたが、「彼(田中氏)がそういう目に遭う当然のいきさつがあるんじゃないか」とテロを容認する発言を繰り返している。この発言の背後には、田中氏の北朝鮮との対話的外交への批判があり、力で押さえ込むことを当然とする主張である。

 私もテロ行為は強者の横暴が続く限り、なくならないと思う。問題は北朝鮮バッシング一色になっている中で、都知事の発言が安易に容認される状況になっていることである。チマチョゴリを着た人へのいじめは真に恥ずべきことである。力のある者が何を言っても、何をしても良いという「力の論理」は弱者、少数者を「国賊、非国民」として抹殺していく。偏狭なナショナリズムは他者を傷つけ、また自らの首を絞めることであったことを、日本人が最も知っていることではないか。「共生」は対話と受容が生み出す。