◇牧師室から◇
小井沼宣教師ご夫妻が秋に一時帰国される。
10月12日(日)の午後4時から「ブラジル宣教報告会」を開く準備をしている。私たちの教会の創立
20周年記念事業の一つとして、私はブラジルを訪問する機会を与えられた。1ヶ月余り、ご夫妻と共に過ごし、サンパウロ福音教会の方々と交わり、またブラジル社会の一端を垣間見る時を得た。サンパウロ福音教会は礼拝出者が二十数名から徐々に減り、現在は十数名である。日系一世の教会員が何人か亡くなり、またブラジル経済の悪化にともない日本へ出稼ぎに来ている人もいるからである。駐在員も日本のデフレ経済の影響で激減している。教勢が伸びることはほとんど期待できない。そうした中でご夫妻は赴任して
8年目を迎えている。厳しい伝道である。眞樹子師は担当していた幼稚園が廃園に追いこまれた。しかし、師はお母さんを看病することによって得た経験を生かし、高齢者のためのデイ・サロン「シャローム」を立ち上げた。「サンパウロ通信」で、素晴らしい働きをしている報告を読んで、嬉しく励まされる。
國光師は、ブラジルの政治、経済、文化、宗教などを豊富な資料と明晰な分析による報告を書いておられ、今度それらをまとめて、「先駆ける『煉獄時代』のブラジル」と題して本を出版されるという。楽しみにしている。しかし、今まで「サンパウロ福音教会」に関する報告は聞けなかった。サラリーマンから牧師になり、戸惑いもあるだろう。ブラジルという異邦の地ではコミュニケーションにも不自由があるだろう。日系社会そのものが二世から三世に変わっている状況では、色々な意味での限界は避けられないだろう。牧師として留まることに心から敬意を表している。眞樹子師は時々、「秋吉先生がいなければ、ブラジル宣教は続けられない」と言われる。オーバーな表現であるが、私たちの教会、また「共に歩む会」の人々が支えになっていると言えよう。
先日、教会車が盗難にあった。國光師は、ブラジル大統領の息子の車が盗られた時、それを監視していた市警が殺されたことを伝えながら、「もし犯人に出会っていれば、銃で撃たれていたかも知れない」と言っておられたが、治安も悪化している。否応なく緊張した生活を強いられている。環境を変えて英気を養うことは必須のことと推察する。
10月の「ブラジル宣教報告会」で國光師が初めて「サンパウロ福音教会の過去・現在・そして未来について」報告される。同じ宣教に与っている者として分かち合えるのものが多々あるのではないかと興味惹かれる。多くの方の参加を期待している。