◇牧師室より◇

 NHKテレビで「子どもの問題」を取り上げて報道していた清川輝基氏が「人間になれない子どもたち」という本で今の子どもたちは体も心も非常に病んでいると警告している。

 体に関しては、背筋力調査をすると腰を痛める子どもが続出して調査できない。体の重心の置き方が悪く長時間歩けない。転んでも対応できず骨折などのけがをする。体温調節が機能せず自律神経に異常をきたしている。心や精神に関しても、他者との関係を保てない状態を報告している。落ち着かない多動、学級崩壊、いじめ、暴力、引きこもり、自死などがあり、人間として成長する過程が阻まれている。「人を殺す体験をしてみたい、人が壊れるのを見たい」と驚くようなことを言って犯罪に走った子どもたちもいる。

 清川氏は史上最悪の状況に陥っており、現状では家庭も学校も地域社会も救うてだてがないと憂いている。ここ40年間、子どもたちの体と心を急激に蝕んだ原因は、利潤追求至上主義の価値観、便利さと快適さを求めた安直な生活要求、自然や集団と触れ合わない無機的、個別的な生活環境、生産を知らず消費だけの核家庭、そしてメディア漬けの生活などであると分析している。

 清川氏はメディア漬けからの解放として「ノーテレビデー」を勧めている。ノーテレビデーを体験した子どもたちは、家族との対話を楽しみ、友だちとの遊びに熱中し、自分の時間を持ち、「テレビは時間どろぼう」であったことを知ったという。清川氏は、子どもが安心していられる「居場所」の確保が大切であると語っている。また、子どもの尊厳を謳った「子どもの権利条約」は批准されている。これを空念仏にせず、実質化が急務であると力説している。

 聖書では女性と子どもは数えられない存在と見られているが、子どもに関して「これらの小さな者を一人でも軽んじないように気をつけなさい。言っておくが、彼らの天使たちは天でいつもわたしの天の父の御顔を仰いでいるのである」と子どもたち一人一人に天使がついて神に執り成していると書いている。子どもは親の物ではなく、神からの贈り物、そして神から与って育てるという信仰が基本である。この信仰が子どもを安心させると信じている。