◇牧師室より◇

 Y.N.兄からメールがきた。米国の13歳の少女の「相手の立場になりましょう」と題する、イラクの少女の立場からの反戦メッセージである。想像力の豊かさと心の優しさに感激した。一部を掲載したい。

 「みなさんが戦争で殺すのは私なんです。もし運がよければ、私は一瞬で死ぬでしょう。運悪くもっとゆっくり死ぬかもしれません。たったいまバグダッドの子ども病院の「死の病棟」にいる、14歳のアリ・ファイサルのように。湾岸戦争のミサイルに使われた劣化ウランのせいで、彼は不治の白血病にかかっています。さもなければ、 生後18か月のムスタファのように、内臓をサシチョウバエの寄生虫に食い荒らされて、 苦しい不必要な死を迎えるかもしれません。 信じられないかもしれませんが、ムスタファはたった25ドル分の薬があれば完治するのです。でも、みなさんが押しつけている経済制裁のためにその薬がありません。さもなければ、私は死なずに何年も生きるかもしれません。サルマン・モハメドのように、外からではわからない心理学的打撃を抱えて......。さもなければ、3歳のとき湾岸戦争でお父さんをアメリカに殺されたアリのように、私は孤児(みなしご)になるかもしれません。

 体が痛くて 泣き叫ぶ息子に、何も楽になることをしてやれない自分を想像してみてください。崩れた建物の瓦礫の下から娘が助けを求めて叫ぶのに、手がとどかない自分を想像してみてください。子どもたちの目の前で死んでしまい、そのあと彼らがお腹をすかせ、独りぼっちで路上をさまようのを、あの世から見守るしかない自分を想像してみてください。これは冒険映画や空想物語やビデオゲームじゃありません。イラクの子どもたちの現実です。

 最近、国際的な研究グループがイラクへ出かけ、近づく戦争の可能性によってイラクの子どもたちがどんな影響を受けているかを調べました。話を聞いた子どもたちの半分は、もうこれ以上生きている意味がないと答えました。10歳のアエサルは、ブッシュ大統領にこう伝えてほしいと言いました。『イラクの子どもが大勢死にます。あなたはそれをテレビで見て後悔するでしょう。』

 ママとパパが明日もいてくれることだけが望みだなんて、悲しいです。そして最後に、自分がどんな悪いことをしたのかも知らないので、何がなんだかわかりません。」

 彼女のメッセージは届かず、国連を無視して攻撃が始まった。世界は崩れていくのではないか。