◇牧師室より◇
東チモールのミッションに行かれた堀江節郎神父から返事をいただいた。教会の皆様、そして
S.J.様、A.E.様によろしくとのことです。神父は現在、島の南海岸のスアイにおられる。首都ディリーから車で山を越え
6〜7時間かかるインドネシア国境沿いの小さな町らしい。新聞もテレビもない。スアイは
1999年、インドネシア軍が撤退する時、彼らによって教会に逃げ込んでいた百人以上の住民と三人の神父が虐殺され、家、畑、家畜など、あらゆるものが破壊された。戦争は人を狂気にする。東チモールは国際的な支援によって独立はしたけれども、厳しい経済状態にあり、多様な言語がコミュニケーションを疎外している。山地では、昔の民兵がインドネシア軍からもらった武器によって、国を混乱させようと人々を殺し、混迷は当分続くだろうと書いている。
神父はミサを始め、病人の訪問、神学生の指導、女性だけの集会などの司牧(牧会)をしておられる。それだけでなく、現地の農業推進の要望に答え、ブタを飼っている。初めてのブタ飼いであるが、餌をやり小屋を洗ってやると、なついて甘えるほどになった。また、部落の便所をつくり、
20軒目を完成させた。水飢饉の時は、車で水運びもしている。極度の貧しさと不便の中で、主イエスの息吹を肌で感じながら、飄々と奉仕する神父の姿をまざまざと思い浮かべた。そして、小鳥に説教した聖フランシスコのように、神父もブタに説教し、それを聞いて、喜び甘えるブタを楽しく想像した。神父の身を捨てたミッションの姿勢にただただ敬服する。
戦争中、東チモールに日本軍が進駐し蛮行を重ねた。彼らは日本人を嫌っている。神父の働きによって日本人に対する見方も必ずや変わってくると思う。