◇牧師室より◇

 旧約聖書を読む会は三回目の通読に入った。一回の通読に約十年かかることになる。前に読んだことは忘れていることが多く新鮮な気持ちで読むことができ、また新しい発見があるので楽しい。

 聖書を読むことは、主イエスは誰であり、この主イエスは私たちとどのように関わっているのかを知っていくことである。主イエスを記した新約聖書を読むことに集中するが、その新約聖書は旧約聖書と深い繋がりがある。旧約聖書を読むことによって、主イエスがあぶり出されるように浮き出てくる。そのように主イエスに焦点を合わせて、旧約聖書を読んでいきたいと思う。

 旧約聖書は @歴史書 A文学書 B預言書の三つからなるが、これらは、イスラエル人の信仰告白として書かれたものである。歴史的事実や科学的真理を読み取ることはできない。旧約、新約の「約」は「契約」である。神と人間の間に交わされた契約に基づく人間観・歴史観が聖書のテーマである。旧約は神の律法を守ることによって祝福を与えるという契約であった。この契約に破れていったのがイスラエルの歴史であった。それは律法を守ることができない人間であることを悟る絶望でもあった。そこに、神からの一方的な救済においてしか救われないという認識が生まれた。新約は、主イエスの十字架による贖罪という無償の「契約」を宣言している。