◇牧師室より◇

 H姉が説教してくださった。H姉はフィリピンのミンダナオ島17年間、現地の人々と自然を育てながら自立を目指すNGOの働きをしてこられた。

 説教では、米国が黒人の犠牲の上に豊かさを築いたように、豊かさの影には収奪される人々がいるということから話された。ミンダナオ島でも現地の人々は、森林伐採によって生存が奪われ、バナナプランテーションによって生活が脅かされていった。彼らは当然抵抗する。すると軍と軍に組する人々は、「彼らは神を知らないコミュニストだ」と悪者呼ばわりし、激しい弾圧を加え、虐殺事件は絶えない。説教題そのまま「近代化の影で奪われていく自然と、苦境に立つ少数民族」の悲劇を報告された。しかし、彼らは「神に感謝、海を渡ってきた友がいる。友よ、神よ、ありがとう」と歌う心優しい平和主義者である。滅び行く中で「自分たちは弾圧を受け、虐殺されたが、他の人に犠牲を与えたことはない」という誇りに生きているという。

 午後の講演会では、スライドで報告された。山は見渡す限りの禿山になり、川は水がなくなり干上がっている。H姉の生活は、水は雨水を浄化したものを用い、電気はない。火力はバイオ・ガスを利用している。家畜と人間の糞から出るメタンガスを火力とし、残り滓は野菜や木々の肥料としている。ごみを出さない循環するシステムを作り出している。

 H姉は17年間、奪い合いによる争いと殺戮を見てきた。そこから、平和は自然と結び合って自立していく生き方がもたらすという確信を得られた。豊かさを求める近代化に背を向け、他者を犠牲にしない生活を実行している。私たちには想像できない生活を淡々としている様に圧倒された。経済的支援は依存性を助長することがあると語り、また説教の最後の言葉は「無駄な消費生活をやめることが平和を造る」であった。