◇牧師室より◇

 会堂建設のための教会債を完済し終えたという嬉しい報告があった日、「港南台教会の宣教計画」の研修会が持たれた。その計画の一つに、サンパウロ福音教会で奉仕している小井沼宣教師ご夫妻に旅費と滞在費を贈って23年に一度帰国していただこうと話し合っている。教会総会で決議してからではあるが、小井沼師に話し合いの状況をお知らせしたところ、返事をくださった。ご夫妻の近況と、小井沼師からは想像しにくい、クスッと笑える楽しいメールを、許可を得たので転載したい。

 「横浜港南台教会のご支援、ありがとうございます。私たちの取るに足らない働きに対しては、不当なほどのご支援で、正直なところどう感謝の言葉を述べていいのか分からないほどです。

 眞樹子の方は、『シャローム』の働きがこのブラジル日系社会でなくてはならない貴重な働きになっており、いま一番祝されたときを迎えているかと思います。

 私の方は、なんの成果もなく、今年また教会員のある方が日本に働きに出る中で、人数が減り、なんとも淋しい日々を迎えています。

 そうした中でも気分転換というか、最近、ダンス教室の『20周年記念のダンス・パーティ』に初めて参加しました。最初、ボレロをイタリア系ブラジル人の女性と踊ることになっていましたが、相手が普段と違ってクレオパトラのように目の縁を黒くぬり睫毛もつけて、それは強烈な姿で現れたのです。そしてその黒く彩られた眼底の深みから私を捕らえるような形で踊り始めました。踊り始めたときは良かったものの、第二段階で自由な曲想になった途端、彼女は練習時とは違って、ここぞとばかり自由に踊り始めたのです。若い時代は、プロのクラシック・バレーの踊り子であっただけに、それは大胆な踊りで、私は一瞬対応できず頭の中が白くなる中で崩れて終りました。

 後半、日本人の女性とワルツを二曲踊りましたが、このときは打ち合わせ通りの踊りで問題なく終えました。今回、ブラジル人の自由な発想法と自己主張の強さを改めて見せつけられた思いで、日本人の規律と訓練に基づく踊りとは違うなと感じました。

 いま『魂の文化と精神の文化の違い』と題して、エッセイを書いていますが、改めてブラジル人の『魂の強さ』に驚き、今回いろいろ学ばされた思いです。」