◇牧師室より◇
5月3日の「憲法記念日」の意味を、どれくらいの人が考えているだろうか。憲法の前文は次のように謳っている。「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永久に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」
警察予備隊が保安隊になり、今や世界屈指の戦力を持つ自衛隊になっている。「国際貢献」という言葉で、PKO法が制定され、自衛隊を数ヶ国に派遣している。周辺事態法、盗聴法、改正住民基本台帳が成立した。あっという間に、有事法制が閣議決定された。更に個人情報保護法案、人権擁護法案、青少年有害社会環境対策基本法案の成立ももくろんでいる。国民保護を目指すかのような法案名であるが、「メディア規制三点セット」と言われ、権力がマスコミをコントロールする法案である。ジャーナリズムは厳しく規制され、NHKに見られるように上からの垂れ流しになると、国民は何も知らされないうちに、人権と生活が権力に絡め取られてしまう。これらの法案が国会審議にかけられている。米軍支援のための戦争体制は確実に進んでいる。
米国のアフガニスタン攻撃は解決にならず、問題を更に大きくしている。パレスチナとイスラエルの泥沼の戦闘は悲劇を増幅するだけである。軍事力による平和は実現しない。
日本国憲法は敗戦の手痛い経験と、軍備放棄によって国際的に認知されようとして作られた。過去からだけではなく、将来的な視点から「非軍事による平和」の構築を真剣に考えていくべきではないか。中米のコスタリカは軍備を撤廃し、その費用を教育と福祉に当てた国作りをし、更に近隣諸国に平和を輸出している。