◇牧師室より◇
子どもの教会では一昨年の夏期キャンプの経験から「障害児の理解と関わり方」について勉強会をしようと計画していた。H姉の紹介で、横浜市在宅障害者援護協会の地域コーディネーターをしているT氏をお招きして講演会を持った。T氏は、障害児を親が殺害した悲しい事件に遭遇し、それから障害者教育に深く関わるようになったと自己紹介された。障害者は当然家庭と地域社会で生活したいと思っているが、彼らを受け入れる適正な施設と社会的認識が少ない。在宅を目指すT氏は相談と訴えに忙殺されていることが容易に想像できる。
最近多くなっているという自閉症児の問題に焦点を当てて話された。自閉症児には社会性、コミュニケ-ション、想像力の障害が見られる。また、感覚の過敏症なども見られる。個性によって多様な症状で現れるが、人との交わりが円滑にいかないという点で一致していよう。彼らは心にいわゆる健常者とは違う独自なこだわりの世界を持っている。それが有用なものを生み出す力ともなりうる。私は健常といわれる巾だけで見るのではなく、それを超えた巾で見る、あるいは想像する。それが他者受容になると思っている。
T氏は自閉症児との関わり方について具体的に話された。簡潔、明瞭、具体的に安心感を与えるように話す。否定文ではなく、肯定文、ほめ言葉で話す。混乱した時には、場所を変え、冷たい飲み物などを与え落ち着かせる。基本は人間関係だから、心を通わせ一緒に楽しむ気持ちを伝えることである、と。
キャンプなど団体行動に受け入れる時は、子どもの状況を親などから聞き取ることが必要であると話された。障害者の事故は社会的に大きく扱われ、深刻になる場合がある。命を与って行くのだから、それなりの準備と態勢が求められる。ただ、恐れて子どもたちの楽しみと成長の機会を奪ってはならいと思う。