◇牧師室より◇
アジアキリスト教協議会は聖霊降臨日の前の日曜日を「アジア祈祷日」として守っている。その祈祷日の式文が送られてきた。今年の式文は東ティモール(正しくはティモール・ロロサエと言う)のプロテスタント教会の協力で作られている。カトリックが96.5%、プロテスタントが2.5%、その他が1%と報告されている。少数のプロテスタント教会が用いられていることが嬉しい。
東ティモールはポルトガルに450年間占領され、インドネシアによって24年間侵略されてきた。インドネシアからの独立を勝ち取るまで、何千人もの人が殺され、三十万人が難民になった。今なお、東ティモールに帰ることができず、西ティモールに拘束されている人々がいる。失業率は80%、識字率は50%、80万人の人口の半数が一日一ドルという極貧の生活をしている。日本の自衛隊がPKO活動で行っているが、旧日本軍から受けた残虐な仕打ちが思い出され反発されている、またインフラ整備なら民間企業の方が格安にできるという報道を聞く。
式文に「ティモール・ロロサエからの声」が掲載されている。独立運動を暴力で押さえつけていた民兵は独立後、西ティモールに逃れた。しかし、故郷が恋しく、生活できない三人の元民兵が村に帰ってきた。村人たちが広場に集まった。彼らは片隅にぽつんと座っていた。村の長老は、自分たちに乱暴し、家々を壊し、家畜を奪った三人に悔い改めを求め、家々と会堂の建て直しをするように迫った。三人は懸命に働き、家々と会堂を修復完成させた。
長老が再び村人を集め、話しかけた。「わしらの三人の兄弟たちは、やっと全部立て直し終えたのじゃ。これで、自分たちのやったことが本当に悪かったっていう三人の気持ちにも、示しがついたってもんじゃ。さあ、今日の午後はみんなで宴会じゃ。この宴会をみんなで共にすりゃ、それで悔い改めも赦しもしめくくられるってもんじゃ。これでまたみんな一つの家族になるんじゃよ。これまでつらかったことは、水に流さんとな。」 午後の宴会では、三人は広場の片隅ではなく、赦され一つの仲間に加えられていた。
ブラジルのマナウスにおられた堀江節郎神父は今、この地のミッションに遣わされている。想像を越える困難と貧しさであろう。しかし、新しい国作りに燃えている。和解し合い、平和を実現する国として建ってほしい。