◇牧師室より◇

 本郷台伝道所の創立5周年記念礼拝説教に招かれた。会堂は一杯の人であった。転会されたS姉は役員として奉仕し、当日は献金当番であった。なくてはならないメンバーとして活躍しておられた。

 依田先生ご夫妻は横浜上原教会を辞任された後、本郷台で開拓伝道をしようと心を決めておられた。栄共済病院で、教会員であった35歳の女性を癌で失った。彼女は癌であることを知らされず、不安と不信の中で召された。依田先生は死の準備の時を逸した悔いがこの地での伝道を決意させたと週報に書いておられる。ご自宅のマンションの一室で家庭集会を始められた。しかし、マンションは人を集める広告を出すことができないので、礼拝のための部屋を探していた。おりしもオウム真理教事件が起こり、宗教に関わる集会場を見つけることは容易でなかった。そのような時、依田先生ご夫妻の人徳であろう、驚くほど多額な献金が寄せられた。そのちょうどの時、駅に近い手ごろな土地と家屋が入手できた。まさに、神様の不思議な導きによって伝道の道が開かれた。私たちの教会は、総会で関係教会になって支援しようと決議した。私は、伝道所開設の一部始終を見聞きしたが、教会が生まれる時は、このような奇跡的なことが起こるものだと感激した。私たちの教会も今までの歩みにおいて、同じような祝福を何度か味わった。

 当初7名の会員であったが、現在は18名に増え、礼拝出席平均も20名になって、確実な成長をしている。礼拝後、記念写真を撮り、愛餐会で一人一人がスピーチされた。皆さん、依田先生ご夫妻を尊敬し、健康が支えられることを願い、また教会に対する深い愛を語られた。手品の上手な人が楽しませてくれ、当日のオルガニストがショパンの「子犬のワルツ」とドヴィッシーの「月の光」の素晴らしいピアノ演奏を聞かせてくれた。家族的な暖かい教会である。第二種教会になる日も遠くない。狭くなってきたので新会堂の建設、そして法人格の取得と私たちと同じ道を歩むのだろう。大きな苦労があるが、希望があることは嬉しく楽しいことである。祈って応援したい。