◇牧師室より◇

 S姉のご主人が亡くなられた。4年前、南部病院に教会員のお見舞いに行った時、姉のご主人も入院していると聞いていたので、突然だが、病室を訪ね、初めてお会いした。真面目な人柄を強く感じた。以来、通院と入院をしながら病気と闘っておられた。1ヶ月ほど前、姉が面会に来られた。ご主人の容態は回復が難しい。クリスチャンではないが、召された時、教会で葬儀をしてくれるだろうかという相談であった。「もちろん、いたしますよ」とお答えした。姉は多くの涙を流された。死別を受け入れなければならない悲しみと辛さが胸にこみ上げたのであろう。私はその涙を見て、ご主人に対する深い愛と尊敬の思いを改めて知った。

 姉の許しを得て数日後、病室を訪ねた。4年前の訪問を覚えていてくださった。病気回復への強い意欲と望みを持っておられた。私は「今回も病院でお会いしました。この次は病院の外で、お元気になられてお会いしましょう」と言ってお別れした。癌は体に広く転移していったが、痛み止めが効いて、ご自宅へ二回帰ることができた。

 ご主人は東京高等師範学校を卒業し、中学の数学教師として43年間勤めてこられた。几帳面で誠実な方であった。大声を出したり命令したりせず、生徒を信頼し個性を伸ばす教育を心掛け、混乱した戦後の教育に生涯を捧げられた。前夜式、告別式には多くの同僚、教え子が慕って集まり、信頼された先生であったことが偲ばれた。

 細やかな配慮をされる姉を中心に、ご家族から本当に手厚い看病を受けられた。あれほどの看病をしてもらえる人は少ない。それは、言葉には出さなかったけれども、態度で示してきたご主人が作り上げたご家庭であったからだと思う。

 草花を愛され、丹精こめて育てたものを教会バザーに献品してくださった。悲しみの中にある姉に神様からの慰めを心から祈りたい。