冬の焼石岳2
2002年3月14日(木)
焼石岳山頂のモンスター
5:15分  起床、
 昨夜2時ごろから風が治まり無風の朝を迎えた。室温は0℃、窓が薄っすらと白んでいる。外に出ると林間を透かして北上市街の灯りが見える。空はまだ鉛色に蔽われているが横岳の稜線ははっきり見えている。予報では午前中は持ちそうだ。必要最小限の荷物を小さいリュックに詰めて山頂に向うことにする。
二日目、銀明水の朝
銀明水を出て直ぐの急斜面から
左が天竺山、右が経塚山
姥石平から北上市街を望む
6:40分  銀明水出発
 山荘を出るといきなり急斜面が始まる。のっぺりとした雪原を斜めに折り返しながら登って行く、雪面は硬く締まっているがシールも効いて歩き易い。振り返ると薄雲の間から射し込む陽射しを浴びて胆沢平野が輝いている。頭上の空はまだ灰色だ。急斜面の右手には白い斜面に黒いブナ林がへばりついた天竺山と経塚山が見えてきた。 急登が少し緩くなってきた。横岳の山頂付近を目印にして夏道よりも左手を進んで行く、雪面から顔を出している雑木の先を避けながら登る。雪面は風に侵食されて波が凍りついたような模様をしている。
 姥石平の端まで登ると焼石岳が見えてきた、こんもりと盛りあがりサツマイモを横にしたような形、ウサギの背中?写真に撮ってもあまり面白味が無い。横岳、東焼石岳、六沢山、天竺山、経塚山も見える。焼石の山頂から雲が流れてくる、風も強くなってきた。姥石平の左側に沿って横岳を風避けにして進んでいく、雪原から顔を出した雑木の先に雪と氷がへばり付いている、まるで白い珊瑚のようだ。夏は一面のお花畑になる場所だが冬も一面雪の花が咲いている。
7:31分  横岳分岐着
 横岳分岐に着いた。稜線に立つと秋田県側から吹いてくる強風に体が飛ばされそうになる。ここから山頂までは風を避けて稜線の少し東側を登って行く。雪屁はできていない、泉水沼まで滑らかに雪面が続いている。山頂に近づくとエビのシッポがあちこちにできていた。
エビの尻尾
風で侵食されクラストした雪面
7:53分  焼石岳山頂着
 山頂は風が強い、山頂の標柱を探したがあちこちに雪の塊がゴロゴロしているだけだ。樹氷が発達する時のように山頂の突起物に厚い雪がへばり付いてモンスターと化してしまったようだ。南は栗駒山が八合目まで見えている、北は牛形山、南本内岳、東は経塚山までしか見えない、霞んでいる。岩手山まで見えないのは残念だが昨日の天候を思うと山頂に登れただけでも幸運だった。風を避けて東側雪面に座り込んで休む、20分ほど景色を楽しんで下山する。
多分これが山頂標柱か?
山頂にはこんな雪の塊がゴロゴロしている
 シールを付けたまま滑らかな雪面を滑り降りて行くと姥石平分岐付近は凍りついていた。エッジが効かない、風に押されながら落ちていく。姥石平と東焼石岳の間にある谷は深い雪に覆われて広大な雪渓が出来上がっている。冬でなければ踏み込むことの出来ない大斜面を斜滑降で東焼石岳の根元まで滑って行く、雪面が大きく波打っているので快適な滑走とはいかないが広大な斜面を独り占めして滑る気分は最高だ。幾度か斜滑降を繰り返すうちに雪渓が狭くなり急勾配で沢に落ち込んでいる事に気が付いた。姥石平を滑っているとばかり思いこんでいたが、何時の間にか尿前沢の雪渓に迷い込んでいる事に気が付いた。ここまで下ってしまうと上り返すよりも南側の尾根を横切った方が近道と判断して藪の中に入る。ところが尾根の先には沢があった、沢沿いにトラバースして登り返す。そしてもう一つ尾根を越えると銀明水避難小屋が見えてきた。危なかった、もう少し尿前沢の雪渓を滑り下っていたら登り返すのに何時間掛かっていたことやら・・・
 姥石平の夏道はブッシュが多くてスキーでは滑り下りずらいのでついつい北側の尿前沢の雪渓を下ってしまう、充分注意が必要だと思う。
姥石平のケルンと焼石岳
8:53分  銀明水避難小屋に戻る
 空はすっかり青空になっている。避難小屋で休憩して2階の掃除をする、玄関引き戸のレールに着いた氷を備えつけのペンキ落としで砕いて取り除いた。
9:17分  銀明水避難小屋出発
 昨日とはうって変わり無風の林間をゆっくりと歩く。今回ほど避難小屋の有り難さを身に染みて感じたことは無かった。銀明水避難小屋と管理者の方々に感謝!中沼9:45分着、中沼登山口10:24分着、国道397号駐車場12:03分着、無事下山できた。帰り道の「ひめかゆ温泉」で汗を流して帰ることにしよう。
避難小屋内部とストーブ
銀明水→1時間13分→焼石岳山頂

帰り、焼石岳山頂→38分→銀明水→28分→中沼→39分→中沼登山口→1時間39分→
国道397号駐車場

国道397号駐車場→7時間08分→焼石岳山頂
山行きの記録
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