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数え切れないほどの窓がある。
整然と並び、四方の壁を埋め尽くす。
窓の横幅は、ちょうど人が2人、並べるくらい。大きくはないけれど小さくもない。
無数の窓に囲まれた四角い空間は広い。吹き抜けのフロアは見上げていると首が痛い。
階ごとに壁に沿ってぐるりとベランダのように通路が設けられていて、数基のエレベータで上下層を行き来する。
見られるものは、1つとして同じものはない、という謳い文句。
フロアに入ったところで周囲を見回す。
他に客はいなかった。予想していた混雑はなく、閑散としている。
広告に載っていたほどではないのだろうか。
ゆっくり見られて良いかもしれない。
思い直して順路を進む。
両開きの硝子戸の向こう側の背景は様々だ。
晴れていたり曇っていたり、夜だったり明け方だったり。
展示物によって設定を変えているらしい。
立ち並ぶ窓から漏れる色は、下から見上げると万華鏡のように鮮やかだった。
最初に乗ったエレベータの先。第二階層の通路。
1つだけ開かれている窓があった。
閉め忘れだろうか。
趣向の1つかもしれない。
気になってしまって、迷わず近づく。
挿し込む光は眩しい。
窓枠に手をかけ、覗き込む。中央に椅子が一脚。
浮遊感。
気がつけば、光に包まれていた。
足元に丸く落ちる影。それがスポットライトの所為だと、理解するまでにしばらくかかる。
左右に伸びていた通路はなく、前方を含め、白い壁に囲まれていた。やけに近い位置、殆ど足元に、椅子。
そして音。
背後で。
高い音を僅かに立てて硝子が震える。
振り返れば。
閉ざされた窓。
「――捕獲終了。やっと全種揃ったな」
「これで予定通り開催できる」
妖 精 博 覧 会
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