「鹿島槍ケ岳山行」

お盆前の8月9日より11日にかけて北アルプスの入門コースとも言われる鹿島槍ケ岳に行ってきました。平成10年の夏高妻山に一緒に登って以来長野市在の義弟夫婦が登山の魅力に取り付かれ、今年は柏原新道を経由して鹿島槍ケ岳に登ることになりました。私達夫婦も7月末に薬師岳・黒部五郎岳・三俣蓮華岳などに登って完全に疲労が回復していないので、2泊3日ののんびりスケジュールでゆっくりとした山行をしてきました。お盆前にしては天気にも恵まれ久し振りにコマクサも目にすることが出来ました。

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8月9日(金) 晴時々曇後雨

この日の登山コースは次の通りである。

扇沢登山口5:53〜7:04ケルン7:14〜9:42種池山荘10:06〜11:27爺ケ岳中峰11:53〜13:02冷池山荘

前夜23:.08に京都八条口を出発した「さわやか信州号」は、信濃大町駅に4:22に到着した。駅のトイレで顔を洗いトイレを使ったりして義弟夫婦の車の到着を待った。それほど待つ間もなく4:45にピックアップしてもらい扇沢の柏原新道登山口に向かう。ガイドブックによっては5〜6台のマイカー駐車スペースがあると記載されているが、別に15台以上の駐車スペースが用意されていた。それでも午前7時過ぎの到着であれば、駐車スペースの確保は難しくなろう。

おにぎりの朝飯を食べお茶も充分飲んで5:53に出発する。扇沢の左岸を少し遡りすぐに右手の樹林帯に入る。モミジ坂と呼ばれるジグザグの道をゆっくりと登り始める。ケルンまでは急坂と聞いていたが、地形図から判断するほど急な傾斜ではない。柏原新道と名づけられてはいるが、昔からの峠道のように地形を上手い具合に利用して道がつけられているようだ。6:39に八ツ見ベンチを通過する。

樹林帯を抜けるあたりのケルンに到着したのは7:04で10分間の休憩を取る。一息入れるのに格好の場所と見え、3パーティ程がたむろしていた。目前に岩小屋沢岳が頂上まで姿を見せているが、針ノ木岳・スバリ岳・蓮華岳などはガスの中で、かろうじて針ノ木雪渓の下部のみが見て取れる。北の方角には種池山荘がかすかながら姿を見せている。ここからは傾斜も緩くなり気楽な登高が続くが、ケルン出発後約1時間経過した地点で、小雨模様となって来たのでザックカバーをかけたり雨具の上衣だけ着用したりする。私は降雨に鈍感なのでザックカバーをかけただけであったが、人それぞれの対策であった。この間11分の停滞。

幸いに雨はじきに止んだがそのままの装備で登高を続行する。時期が早かったら雪渓が残っていただろうザレ場を過ぎると爺ケ岳の中腹を巻く道に別れを告げ、種池山荘に向けて最後の登りとなる。結構厳しさを感ずる頃お花畑の先に種池山荘がヒョッコリと姿を見せた。9:42にこぎれいな種池山荘に到着する。まだガスが残っているが、雨具を脱ぎザックカバーを外す。山荘のすぐ西に種池があるがそれは小さな池である。古い昔は貴重な水場であったのだろうが、今は単なる水溜りである。

明晩の予約を確認して10:06に次の目的地たる爺ケ岳中峰を目指して出発する。すぐに爺ケ岳南峰に向かって緩い登りに入るが、目の前の南峰にはなかなか到着しない。結構長い登りであり途中で5分休憩を取り、スポ−ツドリンクなどを飲む。扇沢から日帰りで爺ケ岳を登山する人達は、南峰を頂上として引き返すようである。南峰は明日鹿島槍ケ岳からの帰路で登ることとして、トラバースして中峰を目指す。南峰と中峰の鞍部の砂礫地でコマクサの大株を見て感激であった。確か6年前の白馬岳山行の際に三国境で見て以来である。他にトウヤクリンドウなど。11:27に中峰頂上に到着する。残念ながらガスが濃く北西から北の方角までしか眺望がきかない。山名で言うと池平山から鹿島槍ケ岳の稜線までである。しかし足元の中峰から棒小屋沢がうねうねと黒部川の方向に延びている風景は印象的である。ゆっくりと休憩し11:53に本日の最終目的地の冷池山荘に向かう。

北峰もトラバースするが結構アップダウンがあり消耗する。赤岩尾根の合流点に到着しほとんど冷池山荘に到着と思いきや、冷池乗越までザレ道を下り更に冷池山荘までの短いが最後の登りが待っていた。13:05に冷池山荘に到着である。やはり山荘の横に冷池が鎮座ましましているが、これも今や小さな水溜りである。この山荘は来年のシーズンオフには新築しなおされるとかで、歴史を感じさせる趣のある山小屋である。

チェックインを済ませ、荷物を部屋に運び込む。幸い8名定員の部屋の西の窓際に4名分のスペースが確保出来た。フトン1枚に1人でシメシメ。予約の効果と早着きの相乗効果かも知れない。一休み後自炊スペースにコンロを持ち込み緑茶とコーヒーを鯨飲する。出来るだけザックの重量を減らすために、コンロとボンベ、ケットル、水と分担して背負い上げただけに、美味しいと言うものだ。登りでフウフウ言わされた1.5kgの水の有難さを実感したが、帰宅後冷池山荘で購入したら150円/Lでしめて225円と計算出来て、パートナーは次回からは山小屋で水が購入出来るのならならそうしたいと言い出した。加齢とともにそのような対策は必要かも知れない。

サンダル履きで冷池山荘の東の見晴らし台に行き東方向の眺望を期待する。しかし依然としてガスが厚くほとんど何も見えない。よくしたもので瞬間的ながらブロッケンの妖怪を見ることが出来た。私達夫婦にとっては、赤岳、北岳に次ぐ三回目の経験であった。

夕立が過ぎて剣岳・立山方面の展望がきくのではないかと思い二回にわたり冷池乗越まで下りてみたが、幸いにも二回目には立山・剣岳が姿を現し小窓ノ頭辺りに沈む夕日を捉えることが出来た。

尚冷池山荘付近に見られた花は、ミヤマアキノキリンソウ、エゾシオガマ、ゴゼンタチバナ、カニコウモリなどなど。

夕食は冷凍食品を中心とした標準的な山小屋の食事であった。翌日ヘリが七回も空輸をしたそうで(四回までは布引山付近見えて気がついいた)、昨今の山小屋の経営はヘリのサポートなしでは成り立たないのがよく分かった。翌日の晴天を祈りながら午後8時の消灯時間前に床につく。

本日のグロス歩行時間は6時間48分、ネットの歩行時間は5時間51分で、累計獲得高度は1344mと出ていた。ほぼ標準歩行時間で歩けたようだ。

8月10日(土) 晴時々曇

この日の登山コースは次の通りである。

冷池山荘5:42〜6:59布引山7:09〜8:03鹿島槍ケ岳南峰8:35〜9:33布引山9.43〜10:40冷池山荘11:10〜12:42爺ケ岳南峰13:00〜13:44種池山荘

起床は4:00で朝食は5:00から食べることが出来た。山荘の東の見晴らし台からご来光を拝むが丁度裏岩菅山のやや左手からの日の出であった。東方向は相変わらず雲海がはばをきかせているが、上信越国境の山々は浅間山から裏岩菅山の西まではっきりとその稜線を明らかにしている。南方向の爺ケ岳も今朝はきれいに見ることが出来る。本日は鹿島槍ケ岳のピストン登山になるので、水、食料、雨具のみリパックし軽いザックでの出発である。5:42に冷池山荘を出発する。

少し登ると冷池のテント場に到着である。既に一張りのテントが有ったが、ここからの展望は結構よい。爺ケ岳から針ノ木岳、立山、剣岳、赤谷山までが見通せる。肝心の鹿島槍ケ岳は手前の布引山にさえぎられて見えないのが残念である。ここから少し歩くと布引平に至るが、高みを増すごとに鹿島槍ケ岳がそのバランスのとれた双耳峰を現すこととなる。今回の山行でのベストショットは布引平先で写した鹿島槍ケ岳であると思っている。また振り返ると奥秩父の山塊につながって八ケ岳、富士山、南アルプスが遠い姿を見せてくれる。ここのお花畑も素晴らしいものである。イブキトラノオ、ハクサンフウロ、ミヤマキンポウゲなどが見られた。軽量のザックのせいもあり、花に魅せられて疲れも感じずに6:09に布引山の頂上に達する。

夏山の写真は早朝にかぎり昼に近くなるとガスが湧き満足する写真は残し得ないが、今回の山頂での展望は布引山がベストであった。東方向は雲海が残っていたが、上信越の山々はきれいに識別出来、360度の展望が可能であった。その画像はパノラマのページに納められているので、ご覧いただきたいと思う。

前日の残りのおにぎり(梅がまぶしてある保存用のもの)を食し、水を補給して7:09に出発である。鹿島槍ケ岳頂上へのザレ道をゆっくりと登る。ヤマホタルブクロ、イワベンケイ、イワオウギ、マツムシソウ、イワツメクサ、タカネツメクサ、ミヤマコゴメグサ、オヤマリンドウ、クモマニガナなどが気分転換させてくれる。8:03に何とか鹿島槍ケ岳南峰に到着する。

この頂上からは今まで鹿島槍ケ岳の存在によって隠されていた後立山の北部が稜線の東側はガスで覆われているものの見渡せた。清水岳から五竜岳まで山座同定が出来る程に見え印象的であった。しかし立山・剣岳などは既にその山頂はガスでかなり覆われ始めていて、布引山での山望には比すべくもない。北峰まで約1時間で往復出来ると言うが今回のパーティの実力から、当初の計画通りに南峰から引き返すことにした。頂上には概算50名以上の登山者がいたと思うが、南峰ピストン、五竜岳への/からの縦走、栂海新道からの縦走等々種種なるレベルの登山者が混じていて、大ベテランの周りに人垣が出来てお話を承ると言うほほえましい?風景が見られた。程よく休憩を取り8:35に下山を開始する。

中高年登山者は下りに気をつけなければ安全登山とはならないので慎重に足を運ぶ。特に斜度のあるザレ道をスリップなく上手に歩くのには、登山靴の性能をよく利用してスリップしない斜度とザレの程度を身につける必要があるが、女性は最大傾斜線に平行に登山靴を置くのは本能的に苦手であるらしい。パートナーは前回の薬師岳・黒部五郎岳の山行でご一緒した天狗さんによく教えてもらったはずなのに、その内容を理解していないようだ。

花を愛でつつ超スローペースで下山を続け、9:33に布引山に到着する。10分休憩で9:43に冷池山荘に向かう。再び布引平の花を楽しみながら、10:40に冷池山荘に帰着する。荷物を詰め直し軽食を取り、11:10に爺ケ岳南峯を目指す。

冷池乗越から赤岩の頭までこんな坂をまた登るのかとブウブウ言いながら足を運ぶ。赤岩の頭から爺ケ岳北峰までは比較的平坦で、何と言うことなく北峰を巻いて中峰の巻きに入る。余裕を持って見たら中峰の巻きも頂上経由もそれ程の高度的な差はないのだ。中峰と南峰の鞍部に咲いているコマクサに別れを告げ、今度は南峰の頂上に登る。中峰に登った時には頂上の登山者は我々の他に3〜4名程度であったが、南峰はここを目的として登ってくる人達もいる上時間的な点も有るのか、30名以上の登山者が集まっていた。到着時間は13:00であった。南峰の頂上は鹿島槍ケ岳南峰程はないが、結構広い。

爺ケ岳南峰からの展望は既に午後1時近くでガスが多くなり望むべくもなかったが、たまたま針ノ木岳と蓮華岳の間に黒岳(水晶岳)がはっきり見え、三倍ズームの115mm(35mmカメラ換算)で撮影出来たのは特筆ものであった。

13:44に種池山荘に向けて出発し、同年代と思われる夫婦のパーティと先になり後になりしながら下山を続け13:44に種池山荘に到着した。チェックインを済ませ、外のテーブルと椅子を利用してまたまたお茶とコーヒーを楽しんだ。昨日は枚方市の水であったが、本日は冷池山荘の多分ヘリで運んだ水である。

一息も二息も入れてから種池山荘の付近の花の探索に出かけた。ぶらりぶらりと棒小屋乗越への尾根道を散策する。出合った花は順不同にハクサンフウロ、クルマユリ、サンカヨウ、ミヤマダイモンジソウ、エンレイソウ、エゾシオガマ、モミジカラマツ、マイズルソウ、キヌガサソウ、オオレイジンソウ、ヒョウタンボク、トリカブト、ゴゼンタチバナ、ウサギギク、キバナノコマノツメ、コイワガガミ・オヤマソバなどなど。種類の多さから言うと今まで見てきたお花畑でも最右翼にランクされると思う。尚途中にあったキャンプ禁止の標識があった池でタオルをすすぎ、身体を拭いた爽快感は忘れられない。

定員10名の個室が割り当てられたが、予約客が到着せずまた遅着きの客もなかったので、結局4名で使用することになり、余裕のある一晩であった。と言ってもフトン1枚に1人の割合であることは変わらない。

夕食は経営が同じでもあり、冷池山荘とそれほどの変わりはなかった。カレーライスが食べたいよ。

本日のグロス歩行時間は8時間02分、ネット歩行時間は6時間22分、累計獲得高度は1162mと表示されていた。少し休み過ぎの感じがある。

8月11日(日) 晴時々曇一時雨

この日の下山コースは次の通りである。

種池山荘5:52〜7:45ケルン7:57〜8:16八ツ見ベンチ8:16〜8:55扇沢登山口

5:00頃に朝食を取る。本日はゆっくり出来るのだが、山に入ると早立ちの習慣がつき5:52に下山の途につく。早朝にきれいなお花畑を歩くのはこの上もなく優雅な気分である。3時間かけるくらいの積りでゆっくり下る。途中で後続パーティにどんどん抜かれるが意に介さない。膝を痛めないように注意して足を下ろす。

片斜面のザレ場をトラバースして爺ケ岳の中腹を巻く道に入る。登る際には目にもとまらなかった石畳・一枚岩の標識に気がつくのも、時間的な余裕を持った下りのせいだろうか。一枚岩は横に階段の道がついていて一枚岩の上を歩く風情もない。ノンストップで凡そ2時間下り続け7:45にケルンに到着する。大休止し残った非常食の整理もする。登山途中で休息していた高校生に不用になった非常食をプレゼントしたところ大変に喜ばれたようだ。シナノオトギリ、ノアザミなどの写真を撮り7:57に下山を再開する。

8:16に八ツ見ベンチを通過する。名前の由来を考えると、見晴らしのよいポイントのように思えるが、木立もあってそんな様子はないようだ。ジグザグ道をどんどん下り扇沢の瀬音が大きくなったら、樹林帯を抜けて扇沢の左岸に降り立っていた。8:55に無事に扇沢登山口に戻りついた。

本日のグロス歩行時間は3時間3分、ネット歩行時間は2時間51分で、標準歩行時間は2時間30分ほどであるから、かなりのスローペースであった。お陰で膝に痛みも生じないで何よりであった。

大町市で昭和軒の美味しいかつ丼を食べたが、この辺りでもかつ丼と言えば煮かつ丼でなくソースかつ丼なのである。昭和軒は大町市を訪れる登山者やスキーヤーにはよく知られた店とのことであった。15:50に信濃大町駅前で「さわやか信州号」に乗り、名神高速道路で交通渋滞にあったものの、21:30には京都八条口に帰り着いた。樟葉からは最終のバスに乗ることもなく、午後11時前には家に戻れた。

7月末に薬師岳に登り西銀座コ−スを縦走して僅かな回復期間の後に鹿島槍ケ岳に登ったのは、年齢を考えたらいささか無謀な計画であったかも知れないが、無事に済んで何よりであった。余裕ある計画でゆっくりとスローペースで歩ければ、まだまだ登れる山はある感じである。(2002.09.10記)

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第19回山行記録バックナンバー(大原の山々縦走)(2002.04.15)
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