昨年の7月23日に28年振りに浅間山の登山規制が緩まり、それまで自己責任のもとで西側(小諸側)は火口より2km離れた黒斑山(標高2404m)までしか登れなかったのですが、火口より0.5Kmの前掛山(標高2524m)まで登ることが出来るようになりました。従来百名山登頂についても、黒斑山に登ることで浅間山に登頂したことになっていたのです。浅間山の最高地点は釜山その標高は2568mとされていますので、前掛山との標高差は44mとなります。そこに登ったら富士山の剣ガ峰に登らなくても外輪山の一角に登れば富士山に登ったとするのと同じ意味合いで、浅間山に登ったとしてよいかと思います。

梅雨入り前に前掛山に登る計画を立て、折角長野に行くのであるから前掛山に近い根子岳と四阿山(長野ではまとめて菅平と呼びます)にも登ることにしました。6月7日に前掛山と黒斑山に登り、翌日8日に根子岳と四阿山に登り、山と花を堪能して来ました。

その後6月の末に火山活動が活発になり、前掛山は言うに及ばず黒斑山も登山規制の対象になりました。しかし7月23日より登山規制がやや緩められて黒斑山には登れるようになりました。浅間山系に登山する際には、小諸市役所のホームページにアクセスして最新の登山規制情報を確かめる方が良いようです。

今回の山行記録は前掛山と黒斑山に登った際のものです。次回の山行記録は根子岳と四阿山に登った際のものになります。

尚この山行記録の写真画像のページに飛びたい場合は、ここをクリックして下さい。

[コース] 今回の登山コースは次の通りです。

しなの鉄道小諸駅(タクシー)〜浅間山荘〜火山館〜湯の平口〜賽の河原〜釜山・前掛山分岐〜前掛山〜釜山・前掛山分岐〜賽の河原〜湯の平口〜草すべり〜黒斑山〜トーミノ頭〜槍ケ鞘〜車坂峠(千曲バス)〜しなの鉄道小諸駅

6月7日(金) 晴
小諸駅発高峰温泉行きの車坂峠に停車する路線バスの始発は9:07と遅く日帰り登山は困難になるので、登山でタクシーに乗る贅沢はしたことのない我々もタクシーを利用することとして、浅間山荘から登るルートを選択した。復路は残された時間を考慮しつつ黒斑山にも登り車坂峠より最終の路線バスを利用することとし、エスケープルートとして浅間山荘へ下ることを考えた。

7:02に小諸駅を出発して7:27に浅間山荘に到着した。高峰温泉まで開通しているチェリーパークラインの浅間登山口からは未舗装の道であり、今後浅間山荘からの前掛山への登山ルートがメインになる可能性から早急に拡幅・舗装の必要があるものと思った。何しろ昔からの浅間山への登山道は浅間山荘から火山館・賽の河原を経由するものであった。黒斑山への登山者が多かったから車坂峠から入山するのが当たり前になっていたが、前掛山に登れるようになった以上草すべりの急坂又はJバンドを経由するルートは、浅間山荘・火山館ルートにその席を譲るようになるものと考える。

トイレ休憩と登山届の作成を済ませて7:45に出発する。別に男女混成のパーテイが先発した。このパーテイとは復路の湯の平口でお別れするまでつかれはなれずの行動であった。グンナイフウロ・ウマノアシガタなどの花を愛でつつ30分ほど歩くと一の鳥居である。ここから二の鳥居まで蛇堀川沿いのルートと左手の山に沿ったルートがあるが、例によって山側のルートを選択する。クヌギなどの林間を気持ちよく歩いて、8:36に谷沿いのルートを歩いて来たらしい先発のパーテイに二の鳥居で追いつく。まだ先が長いのでお茶を一杯飲んだだけで8:38に出発する。

長坂と名づけられた斜面をゆっくり30分ほど登ると視界が開け、右手に牙山(ギッパヤマ)がその特異な山容を表す。牙山は剣ケ峰につながるもので、この山とトーミノ頭との間で第1外輪山の侵食・崩壊部分が形成されている。その侵食・崩壊部分は現在はカモシカ平と呼ばれる小さな平坦部分となっていて、ここにはイワカガミ・ハクサンイチゲ・ミヤマキンバイなどが美しく咲いており、運が良ければカモシカも見られると言う小楽園でもある。カモシカ平には中開霊神石碑が建てられていて、浅間山が古くから修験道の山であり浅間山荘・火山館のルートがメインの登山道であることを感じさせる。カモシカ平を抜け出す頃になって、初めて前掛山が林間にその優雅な山容を現してくれた。結構噴煙が上がっているようである。

右手の谷筋が茶色に染まっていて、火山に近づいている雰囲気がする。間もなく火山館に到着する。9:33到着で休憩時間を含めて浅間山荘から1時間48分を要した。それほど急な登りもなくまあまあのペースである。火山館には管理人さんもおられ、火山の活動状況、本日の天気などにつき情報を入手する。地下はシェルターになっていて、休憩室も利用出来トイレも水洗と完備している。水は黒斑山の湧き水とかで冷たく美味しい。ゆったりした気分でおにぎりを一つ食しお茶も飲む。浅間神社に本日の登山の無事を祈念し、9:49に出発する。

ここから湯の平口まではハクサンイチゲ、イワカガミが散見する林間ルートできわめて快適な道である。9:59に湯の平口の案内板が建てられている場所に到着する。この付近で黒斑山とトーミノ頭がよく見えてきたので写真を撮る。復路はここから草すべりを登って黒斑山に行く予定であるが、さてその余力が残されているだろうかの思いが頭をよぎる。花の時期はまだ早いがマイヅルソウが敷き詰められたような林間コースを歩いて10:13に賽の河原に到着である。古いガイドブックを紐解くと湯の平口と賽の河原の間の西側はお花畑と記されている。

賽の河原はJバンドからの下山道が合流していて、これから先は前掛山山腹の長い片斜面をシコシコと登るのみである。火山特有のガレ道を落石を起こさないように慎重に歩を進めるが、それでもミネズオウ、ツガザクラが時折目を楽しませる。途中数回の立ち休みを取り、11:13に釜山と前掛山の分岐に到着する。ここまで登れば前掛山の頂上はもう僅かであり、釜山は直接望むべくもないが、浅間山の噴煙は一層高く明瞭に見てとれる。又トーミノ頭・黒斑山から蛇骨岳・仙人岳・Jバンドにかけての第1外輪山がアルペン的な様相で迫ってくる。10分の休憩を取り11:23に前掛山の頂上を目指して出発である。

左下に二棟のシェルターが頼もしげに見える。浅間山の西側(小諸側)の登山ルートにはこの他に槍ケ鞘にもシェルターが見られたが、これらは噴火の際の落下物に対するシェルターとして利用するのが第一義であるが、落雷の際のシェルターの用にもなるようである。トンオーダーの岩石の落下には対応しかねるだろうと思った。そのような事態になったら、自然の猛威には抗しがたいと言うことでしょう。ザラザラとした稜線をゆっくりと登りつめ11:45に前掛山の頂上に到着する。風が結構あり又風向きによって火山砂のような落下物が感じられる。頂上は平らな部分がなく稜線の一部に浅間山の標識が建てられていて、写真を撮るにも足場が悪くそうそうの内に下山を開始する。長居をする所ではないとの判断であった。高度計による標高は2392mを指していたが、実際の標高2524mであるから家を出てからかなり高気圧に移行しているようであった。

11:50に頂上を発ち12:07に稜線よりやや下がった地点に建つシェルターに着き、そこで昼食とする。残ったおにぎりを食べ、重い思いをして運んできたグレープフルーツを賞味する。山で食べる柑橘類の美味しさは又格別である。浅間山の噴煙は一瞬として途絶えることなく、常に変化を繰り返して立ち昇るので、デジカメのシャッターを飽きることなく切り続ける。食欲を満たし風景に十分堪能して、12:32にシェルターを出発する。

12:34に釜山と前掛山の分岐をパスして下山道に入る。この日は自己責任と言いながら規制を無視して釜山に登ろうとする不心得者はいなかったようである。まだまだ前掛山に登ろうとする登山者がいるが、マイカー登山をしている人達で明るい内に浅間山荘の駐車場に戻ればよいとするものだろう。賽の河原の手前で5分休み前掛山の全容を再度心に留める。13:17に賽の河原をパスする。

賽の河原から湯の平口までは往路でも楽しんだルートであるが、復路は前掛山登頂の達成感もあって一層楽しく下れる。13:30に湯の平口に到着する。さてここで草すべりを登って黒斑山にも足跡を残すか、平凡に浅間山荘に戻るか思案のしどころとなったものだが、車坂峠の千曲バスの最終便が16:52であるので、時間的には余裕があるのは明らかで後は気力の問題となった。釜山と前掛山への分岐への約1時間の登りで少し足の出が遅かったパートナーも復調したようで、黒斑へのルートに挑戦することとなった。

13:36に草すべりに向かう。ここで朝先発した混成パーテイとお別れした。足がそろっていなかったようで三々五々の下山風景であった。林間のルートを少し歩くと直ぐにトーミノ頭の向かって右下の鞍部への突き上げるような登りになる。外輪山の内壁になるので斜度は感覚的に40度に近いものがあろう。ただしルートはジグザグに上手につけられているので、さほどの傾斜ではない。しかし片斜面であるから高度感はかなりある。急ぐことなくじっくりと高度を稼ぐ。高度差は300mほどで約1時間のアルバイトであると思い、疲れた身体に最後の鞭を入れる感じである。途中に小さな岩場があったが、登りでは難しくはない。しかし草すべりを下りルートに選んだ場合は、岩場の頭が平坦なので第一歩を下し難いと見た。

鞍部に近くなって例によって目のよいパートナーがハクサンイチゲと共に咲くハクサンコザクラを発見する。デジカメはザックの中に仕舞い込んでいたが、一息入れながらハクサンコザクラを撮影する。たしか一昨年の夏に火打の天狗ノ庭で群生を見て以来である。

14:36にトーミノ頭と黒斑山の分岐がある鞍部に到達する。標準時間より5分ほど遅れたようだ。一息入れ前掛山・トーミノ頭などの景色を楽しむ。14:40に黒斑山を目指して出発しひと山越して14:51に黒斑山の頂上に到着する。なるほどここからの前掛山の山容は素晴らしく、浅間山の宣伝ポスターなどでお目にかかる構図そのものである。苦労して登った釜山と前掛山への分岐に至る登山道がはっきりと認識出来る。黒斑山につながる蛇骨岳などは、見通せないのが残念である。

頂上の道標によれば表コースをとっても80分で車坂峠に戻れるとあるので、まず千曲バスの最終便に十分に間に合うものと少し安心する。15:03に黒斑山を下山する。15:12にトーミノ頭と黒斑山の分岐をパスし、15:17にトーミの頭をパスする。赤ゾレノ頭から最後となる前掛山の写真を撮り、15:21に表コースと中コ−スの分岐をパスする。槍ケ鞘のシェルターを見過ごしどんどん下る。左膝に違和感があるがだましだまし下山を続ける。

アズマシャクナゲ、ムシカリが目にとまりしばし写真を撮る。アズマシャクナゲは説明板が付いていたので名称が分かったが、関西の比良山系などで見られるホンシャクナゲとの相違は全く分からない。最後の車坂山をひいひい言いながら登り返して車坂峠に到着したのは16:24であった。

バスの待ち時間を利用して車坂山荘で買い物などしたが、ご主人の話によればこの日の風向きは通常と変わって小諸方面に噴煙が流れる状況であったとのことあった。何時もは北側の鬼押出方向に噴煙が流れるのだそうである。前掛山の稜線を歩いていた際に火山灰らしい落下物を浴びたことについて大いに納得したのである。又釜山に登る登山者が見られなかったのは結果として良かったと思った。

定刻の16:52を若干遅れて16:58に小諸駅行きの千曲バスが到着して乗車出来た。下車するまで、乗客は我々二人のみで申し訳ない気すらした。17:27に小諸駅に到着ししなの鉄道で長野市に向かった。

この日の歩行時間はグロスで8時間39分、ネットで7時間14分、延獲得高度は1968mと指示されていた。浅間山荘からの往復は少し物足りないと思い、草すべりを経由して黒斑山まで登ったが、翌日根子岳・四阿山山行を予定していたことも考えると、ややオーバーな行程となったようでこれは反省材料である。しかし山のみならずハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、ミヤマキンバイなどの高山植物も楽しめたのは、大いなる収穫であった。(2002.06.18記)

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第02回山行記録バックナンバー(念願の劔岳に登る)(2000.10.15)
第03回山行記録バックナンバー(秋の白峰三山)(2000.12.30)
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第05回山行記録バックナンバー(懐かしの摩耶山)(2001.04.15)
第06回山行記録バックナンバー(早春の奥比叡縦走)(2001.04.30)
第07回山行記録バックナンバー(めずらしく九州の山 - 由布岳)(2001.05.15)
第08回山行記録バックナンバー(八淵ノ滝から武奈ケ岳)(2001.05.30)
第09回山行記録バックナンバー(大普賢岳より七曜岳まで) (2001.06.15)
第10回山行記録バックナンバー(権現山より蓬莱山まで)(2001.07.15)
第11回山行記録バックナンバー(梨ノ木林道から竜ケ岳)(2001.10.15)
第12回山行記録バックナンバー(秋の鳳凰三山)(2001.10.30)
第13回山行記録バックナンバー(秋の天城縦走)(2001.12.30)
第14回山行記録バックナンバー(大台ケ原散策)(2002.01.15)
第15回山行記録バックナンバー(晩秋の百里ケ岳)(2002.02.15)
第16回山行記録バックナンバー(比叡山の初歩き)(2002.02.28)
第17回山行記録バックナンバー(雪のダイヤモンドトレール)(2002.03.15)
第18回山行記録バックナンバー(雪の上高地・乗鞍高原)(2002.03.30)
第19回山行記録バックナンバー(大原の山々縦走)(2002.4.15)
第20回山行記録バックナンバー(リトル比良)(2002.05.15)
第21回山行記録バックナンバー(山田牧場・志賀高原・鬼無里村)(2002.06.15)