7月19日に夏山のトレーニングとして近所の飯盛山と室池に行ったのを最後にして長い休養時間を取っていましたが、ようやくドクターストップが解けて山行を楽しめる境遇になりました。己に対して先ずはご同慶の至りです。既にこうなるだろうと予測して京都北山の竜ケ岳にも登り、軟弱化した肉体に活を入れ準備万端整えて、10月4・5・6日と南アルプスの鳳凰三山を縦走して来ました。

鳳凰三山は南アルプス縦走の入門コースとされていて、夏山山行をスキップした現在の小生のコンデションを考えたら妥当な選択でありました。時期的に高山植物にはお目にかかれませんでしたが天気にも恵まれ、ウラジロナナカマド・ダケカンバの紅葉・黄葉も楽しめて、期待通りの山行でありました。

尚この山行記録の写真画像のページに飛びたい場合は、ここをクリックして下さい。更にパノラマのページも用意されていますので、ここをクリックして下さい。

10月4日 曇
週末では利用出来ない5:41発のバスに乗ることが出来、順調に名古屋駅発8:00の特急しなのに乗れる。塩尻で新宿行きの特急あずさに乗り換え11:05に甲府に到着する。生憎と雲が低く楽しみにしていた南アルプスと八ヶ岳の贅沢な車窓展望はかなわなかった。

駅ビルにて昼食のうどんを食し12:00に広河原行きのバスで夜叉神峠登山口に向かう。甲府市内から白根町を経て御勅使川(ミダイガワ)に沿って高度を稼ぎ、桃の木温泉への道を分けて13:15に夜叉神峠登山口に到着する。標高は1400mほどで本日前泊の夜叉神峠小屋までの高度差は370mで一登りである。

トイレ休憩をして13:19に北側の登山口から登高を開始する。曇りの天気のせいもあり陰気な林間の坂道をゆっくり登るが、トレーニング不足もあってたちまち顔面に汗がふきだす。登山開始直後はトリカブト・サラシナショウマ・アキノキリンソウなど撮る余裕もあったが。昔からの峠道は山の斜面に上手に道作りをしているので以外にこたえずに、小さな祠、炭焼窯跡、五本松を過ぎて14:24に夜叉神峠に到着である。

3分ほど休憩し夜叉神峠小屋を目指すが、地図の位置から予想も出来ないほど近く、僅かな時間で小屋に着いた。時に14:30であったが、何と小屋にはシャッターが降りていて主人が帰るまで待つ羽目になってしまった。ほどなく主人があわてて帰着し小生等7人を小屋に招き入れた。夜叉神峠の南の高谷山の先に新道を開発中とのことであった。予約の段階で夜と翌朝の食事は準備出来かねるとのことで、甲府で購入した弁当と持参のおにぎりで賄うこととなったが、美味しい味噌仕立てのきのこ汁がサービスされた。

30人収容の本当に小さな山小屋で、食堂には灯油のランプが吊られていた。これもサービスで点灯されたが、実際には自家発電の電灯が利用されていた。

食事後主人の角田さんから、鳳凰三山のコース、高山植物、明日の天気などについて、色々と話をうかがった。少ない宿泊者だから家族的な雰囲気で薪ストーブを囲んで団欒の一時を楽しめたものである。

なお宿泊者が7人と少なかったので2階の4.5畳に2人で、シーズンオフの北八ヶ岳以来の余裕ある収容状況であった。

本日の実歩行時間は1時間3分でほぼ標準並であった。20:00に消灯。

10月5日 霧雨後薄曇後晴
寝入り端くらいから雨が降り出したようで、雨だれの音が気になった夜であった。5:30に起床し各パーティ適当に朝食を取る。今度は豚汁が振舞われた。

角田さんの勘では午前中は雨が残りそうだとのことで、雨具着用で7:28に小屋を出発する。小屋の西側はヤナギランの群生地でほけた花が沢山目につく。残念ながら売り物の白峰三山の展望は、前日と同様霧雨の中で楽しむすべもなかった。

熊笹の中を下っていくと、間もなく登りとなり雨具のせいもあり結構汗をかく。8時過ぎに雨がやむ気配となり、シラビソ林を歩くうちに8:44に杖立峠に到着する。ここで雨具を脱ぎ一休みして9:03に出発する。

平坦なシラビソ林を歩き多少の登りをこなすと、9:46に展望が開ける場所に到着する。山火事跡と称されるところで、西側の白峰三山の展望が良いとのことだが未だ低く雲が残り西農鳥岳と間ノ岳の間の鞍部、ボーコン沢ノ頭などが見えるだけである。しかし北側の辻山方向はきれいに晴れて紅葉が見事である。思わず長居をしてしまい出発は10:46になってしまった。

ここからは緩いが長い登りであるが、涼しい気候であるからそれほどへばらずに登り続けることが出来、10:51に林間の薄暗い苺平に到着する。西側には辻山へ東側には千頭星山への道が分れている。辻山には30分ほどで往復出来るとのことだが、多分展望が得られないと行くのは止めにする。ほぼ尾根歩きをしているのだがシラビソの林間が多いのと雲が多いので全くその楽しさは味わえない。ひたすら歩くだけの感もある。

トイレ休みをして11:02に出発する。ここから南御室小屋までは又々シラビソの林を行くである。シラビソの自然林では世代交代がどのようになされているのか観察することが出来る。久しぶりにサルオガセを見ることが出来た。

南御室小屋の手前でルートの確認で少々トラブルがあった。南御室小屋まで後10分の標識があったので気楽に歩いていたら、突然大棚沢の標識が出てきたのである。そのまま歩いていったら86年国体踏査コースに入ってしまうのではないかと後10分の標識まで戻り、道の左手に南御室小屋への分岐があるのではないかと注意して下ったがそのようなルートはなく、そのまま11:53に南御室小屋へと到着した。大棚沢の標識に南御室小屋の標識を併記してもらえば、こんな誤解はなくなるだろうと思うことであった。おおよそ10分以上のロスだったろう。

南御室小屋は辻山と砂払岳の間のやや広い鞍部にありきれいな冷たい水が豊富に湧いていて結構なロケーションにある。ここで菓子パンの昼食である。水は雪解け水の味がしたが、今時分に雪解け水でもないでしょうか。十分に休息して12:28に最後の登りに出発する。

砂払岳へのアプローチである最初の登りは、距離は短いものの比叡山の雲母越の斜度がきつい感じのルートで、重い胃袋を抱えての登りはちと厳しい。ゆっくりゆっくり登るとその後は緩い傾斜の登りが続く。まわりの風景が開けると共に高山地帯を思わす白砂とハイマツの環境に変わり、ガマの岩をパスして砂払岳に到着する。13:37であった。ここからの展望は本日一番のものであり、間ノ岳、雲海に頭を出す笊ケ岳も識別出来るようになり、又薬師岳、観音岳の全容が一望であった。13:50に薬師岳小屋を目指して下山を開始したが、下山中に薬師岳のピーク下の紅葉が見事であったので足を止め、ザックからカメラを取り出して又々シャッターを切ることとなった。

薬師岳小屋の到着は14:25であった。小屋のまわりのウラジロナナカマドの写真を撮ったり横になって休息したりして夕食を待った。夕食はレトルトのビーフシチューと和風野菜サラダで水の使用ままならぬ小屋としてはこんなものでしょう。

ここも連休前なので1.5畳に1人の感じでゆとりあり十分に眠ることは出来た。消灯は20:00。夜中にトイレに起きたが満点の星空は最近に経験したことがない素晴らしいものであった。明日の晴の天気を予感させるものであった。なお本日の実歩行時間は4時間59分で、かなりのハイペースであったようだ。

10月6日 快晴
本日は今回の鳳凰三山縦走の核心とも言うべき日である。4:30に起床する。朝食は6:00に準備出来るとのことであったが、実歩行時間が6時間以上になることが予想され、10月の第1土曜日から青木鉱泉発韮崎行きのバスの午後の第一便が30分早まって15:00となることが分っていたので、朝弁にしてもらう。5:19に小屋を出る。黎明の中を薬師岳のピ−クにむかう。最早ヘッドランプは不用の明るさになっていた。5:29に薬師岳のヤグラが置かれている結構広い台地に到着する。早速未だ眠り覚めやらぬ白峰三山、仙丈岳、観音岳などの写真を撮る。さすが富士山は既に覚醒の雰囲気を感じさせた。

日の出の写真を撮るべく最高度の岩稜のピークに向かいスタンバイするが、5:40前後の日の出は雲がかかりややフラストレーションを感ずるものであった。しかしその思いを打ち消すに余りあるモルゲンロートに染まる周囲の山々の姿に感動すら感じた。南方向の笊ケ岳から始まり西側に白峰三山、仙丈岳、観音岳、北アルプス、八ヶ岳と雲海の上に浮かぶ様子は素晴らしい。東側の秩父の山々などは雲海の下にあり、さすが富士山のみ図抜けて頭を覗かせている。

再度台地に下り薬師岳のピークを撮っていよいよ三山縦走の始まりである。時に6:08で観音岳は指呼の間にあり、ゆるやかな稜線を凱旋気分で登ること約30分、6:40に観音岳の頂上に到着する。

観音岳頂上よりの展望は正しく今回山行のハイライトと言えよう。薬師岳からの展望はモルゲンロートに映えるものであったが、ここからの展望ではダケカンバ・ウラジロナナカマドなどの黄葉・紅葉で見事な山肌が楽しめた。しかもここまで登ってきて初めて甲斐駒ケ岳の勇姿、特異な山容の地蔵岳、富士山をバックにした薬師岳を見ることが出来る。ここで何と30分も腰を落ち着けてしまった。薬師岳頂上での長逗留もありドンドコ沢の下りで時間との競争をするはめになるとはこの時には気がつかなかった。次なる目的地赤抜沢ノ頭目指して7:10に出発する。

観音岳から赤抜沢ノ頭まではほぼ岩稜帯の縦走となり、高山の縦走の気分となり高揚してくるのが分る。7:32に鳳凰小屋への分岐を過ぎて小さなピークを樹林帯に下りて巻くと、いよいよ赤抜沢ノ頭のピークがまじかに見える白い砂礫の道に入る。8:24に赤抜沢ノ頭に到着する。

ここからは特異な山容の地蔵岳を極めてまじかに眺めることが出来、かのウエストン氏がロープに石を結びつけて投げ上げ、クラックに食い込ませてその助けで登ったと書かれているオベリスクがすっくと立ち上がっている。又観音岳を振り返って見て結構な急斜面を下りてきたものと感心すること大であった。甲斐駒ケ岳がそのピラミダルな美しい姿を隠すところなく見せ、高嶺とかアサヨ峰など馴染みはないが縦走しがいのありそうな峰々が北上している。

ここで少々遅いが朝弁を食する。パートナーが重い思いをして持参してきた水分タップリの梨の美味なることよ。8:55に賽ノ河原に向かって下るが、道の最後でひどいトレンチになっていて脇の熊笹の中を下る。9:05に沢山の地蔵様が居並ぶ平地に到着する。オベリスクにかなり近づけるルートがついていたが、先の行程もあり疲労度も考慮してパスすることとして、地蔵岳の近景と地蔵様の風景を写して、9:13に鳳凰小屋を目指して下山を開始する。

道は砂礫帯に上手にジッグザッグにつけられていて、丁度腐れ雪の斜面を登山靴の踵を支点として滑り下る感じで快適な下りである。紅葉最盛期の林間を気分良く歩くと間もなく鳳凰小屋に到着となる。時に9:44であった。

誠に美味しく感じられる水をしこたま飲み、お土産のバンダナを二枚購入する。主人の細田さんに下山ルートと歩行時間など質問する。小生等はドンドコ沢下りで青木鉱泉に下りる予定であることを告げると、4時間は予定すべきであるとのこと。又ドンドコ沢は整備状態が悪いので登りに使用すべきで、下りなら御座石鉱泉へのルートを推奨するとのことであった。前日の薬師峠小屋の角田さんは、白鳳峠と中道は道が悪く利用すべきでないと言ったが、ドンドコ沢下りは問題があるようには話していなかった。どうやらルートの難易度についての見解には結構個人差があり、道の整備状態、案内の的確さ、それに平坦か起伏が多いかなどに主観的な判断基準があるようである。それと山小屋と山小屋・下山場所の宿泊設備との経営関係も判断基準にあるらしく、主人のアドバイスを素直に聞けるようになるには年季が必要なようである。

鳳凰小屋を9:58に出発する。予定バス時間が15:00であるからグロスで5時間ほどの時間がある。休憩時間、昼食時間も考慮しても実歩行時間は4時間確保されているので、多少の余裕も感じて下山を続ける。10:38五色滝着同10:43発。11:10白糸滝着同11:16発。12:08鳳凰の滝パス。12:40南精進滝着菓子パンと朝弁の残りで昼食同12:53発。思いの他急坂の連続でペースが落ち勝ちである。何とか13:50頃高巻ルートと川原ルートの分岐点に到着する。この間にルート確認の為5分間休憩する。

分岐点まで到着してホット一息である。川原ルートは40分〜50分かかると案内板に記されていたので、45分としても14:35には青木鉱泉に到着できる目処が立ったためである。最後の一踏ん張りとルートミスしないことも配慮してひたすらに川原を下る。実際は使用不可能であったが、蛇口付きの水場がありゴールが近いことを感じさせた。間もなく左手の木立ちへと道が誘導されて草原を歩くとそこは写真で見なれた青木鉱泉の建物であった。分岐点での予定時間を大幅に短縮して14:20の到着であり、先行していた千葉からの三人組のパーティにそこそこの遅れで到着出来たようであった。

本日の実歩行時間は6時間20分であり、ドンドコ沢下りが実歩行時間で3時間43分であったので、鳳凰小屋の細田さんの言からして立派なものと思った。

ベンチで休んでいると青木鉱泉の主人が出てきてお湯に入らないかと勧誘してきたが、15:00のバスに乗るので時間的な余裕がないと断りを入れたら素直に納得してくれた。ご主人の顔を後でガイドブックで確認したら堤さんだった。

韮崎駅には予定より若干早く16:00頃に着いた。駅前のビル食堂で早めの夕食を食べ、特急あずさ、特急しなの、新幹線を乗り継いで、無事帰宅は午後10時前であった。

今回の山行は約2ヶ月のブランクを考慮して鳳凰三山と決定したが、南アルプス縦走入門コースとはいえ、結構タフなドンドコ沢の下りがあり又貴重な経験を積むことが出来た。勿論ダケカンバ・ウラジロナナカマドの黄葉・黄葉も素晴らしく、鳳凰三山から眺めた白峰三山の山容の素晴らしさは、常念岳・蝶ケ岳より眺めた槍穂の素晴らしさに負けず劣らずであった。(2001.10.14記)

第01回山行記録バックナンバー(何故山好きに)(2000.09.14)
第02回山行記録バックナンバー(念願の劔岳に登る)(2000.10.15)
第03回山行記録バックナンバー(秋の白峰三山)(2000.12.30)
第04回山行記録バックナンバー(交野山 - 石仏の道)(2001.03.15)
第05回山行記録バックナンバー(懐かしの摩耶山)(2001.04.15)
第06回山行記録バックナンバー(早春の奥比叡縦走)(2001.04.30)
第07回山行記録バックナンバー(めずらしく九州の山 - 由布岳)(2001.05.15)
第08回山行記録バックナンバー(八淵ノ滝から武奈ケ岳)(2001.05.30)
第09回山行記録バックナンバー(大普賢岳より七曜岳まで) (2001.06.15)
第10回山行記録バックナンバー(権現山より蓬莱山まで)(2001.07.15)
第11回山行記録バックナンバー(梨ノ木林道から竜ケ岳)(2001.10.15)