月経困難症
月経周期の異常
月経周期が24日以内、
もしくは39日以上は注意が必要
月経周期」とは、「月経の開始日を1日目とし、次の月経が月経が
始まる前までの日数
」をいいます。
例えば、5月1日に始まった月経の後、次の月経が5月29日に始まれば、
月経周期は28日ということになります。
この日数が25〜38日以内であれば、「
正常な月経周期」とされます。

基礎体温を測ると、月経周期は「
低温期」と「高温期」の二つの時期に
分かれていることが分かります。
低温期は、卵巣にある卵胞が成熟する時期であることから「
卵胞期」、
高温期は排卵が起こった後、卵胞から黄体ホルモンが分泌される時期
であることから「
黄体期」と呼ばれています。

黄体期の長さは、ほぼ14日間と決まっており、個人差があっても、
2日くらいの増減です。
月経周期に長短があっても、黄体期の日数にはほぼ変化はありません。
月経周期が長いとは、卵胞期が長いということなのです。

月経周期の異常には、いろいろなタイプがあります。
月経周期が24日以内と短い場合を「
頻発月経」、逆に39日以上
あるものを「
稀発月経」といい、3ヶ月以上になると「無月経」と診断
されます。
そのほか、月経が不規則に起こるものを「
不正周期月経」といいます。
はがれた子宮内膜が
排出されて月経になる
子宮内膜を被う子宮内膜は、卵巣から分泌される卵胞ホルモンの働きで
増殖する。
排卵後、黄体ホルモンが分泌されると粘膜の層に変化するが、受精卵が
着床しないとはがれ落ち、血液とともに膣から体外に排出される。
これが月経で、卵巣と間脳-下垂体系のホルモンによってコントロール
されている。
子宮はポンプのように経血を膣へと押し出すが、このとき、子宮を収縮
させるのがプロスタグランジンである。
月経異常は
思春期や更年期に起こりやすい
@月経周期の異常

月経周期が39日以上8週以内の場合を稀発性月経という。
原因は卵巣の機能不全で、長く続くと無月経になることもある。
一方、排卵が早期に生じたり、排卵から月経までの期間が短いと
頻発月経になる(月経周期が24日以内)。
思春期や更年期はホルモンのバランスが不安定なため、月経周期が
乱れやすい。

また、規則的であった月経が妊娠していなにのに止まってしまうことが
ある(
続発性無月経)。
精神的ショックやストレスといった心理的要因や、極端なダイエットなど
も、ホルモンバランスの乱れを引き起こす。

A経血量の異常
経血量が異常に少ない場合は、子宮の発育不全やホルモンの分泌
の異常が原因であることが多い。
逆に、経血量が異常に多い場合もある。
思春期や更年期でよくみられるが、子宮筋腫や子宮内膜症など
器質的疾患の可能性もあるので注意を要する。
過剰なプロスタグランジンが
月経痛を引き起こす
月経時に下腹部痛や腰痛、あるいは頭痛や吐き気、下痢、不安感、
焦燥感などの症状を伴うことがある。
成因のひとつはプロスタグランジンの過剰分泌で、子宮や腸管の
平滑筋をより強く収縮させるために痛みが引き起こす。
こうした月経困難症は、出産後に軽快することが多い。

また、月経の約1週間前より、頭痛や憂うつ感、イライラ感などに悩
まされる月経前緊張症も少なくない。
これらの不快な症状は月経が始まると消失する。
ホルモンの分泌の変化が精神状態にも影響を与えていると考えられる。
月経異常の対処法と治療方針
月経時は、ゆったりとした衣類を着用し、足腰を冷やさない、散歩や
ストレッチなどで軽く体を動かす、ストレスはためないなどの生活を
心がけるとよい。

月経痛には非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID)や鎮痙剤を使用する。
とくにNSAIDはプロスタグランジンの産生を抑制するため、痛みが生
じる前から服用すると有効である。

月経周期や月経量の異常に対しては、必要に応じてホルモン療法が
行われる。
黄体ホルモンは、卵胞ホルモンを併用することで効果が増強されるため、
単独で使用することは少ない。

器質的疾患がある場合は、その治療が必要である。
月経異常の改善薬
月経痛
非ステロイド系消炎鎮痛薬
(NSAID)
メフェナム酸(ポンタール)
ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)
イブプロフェン(ブルフェン)
抗コリン剤 臭化ブチルスコポラミン(ブスコパン)
臭化バレタメート(レジタン)
月経周期異常
卵胞ホルモン製剤
(エストロゲン)
安息香酸エストラジオール
(オバホルモン、ペラニン:筋、皮下注)
吉草酸エストラジオール
(プロギノンデポー、ペラニンデポー:筋注)
黄体ホルモン製剤
(プロゲステロン)
シドロゲステロン(デュファストン)
酢酸メドロキシプロゲステロン(プロベラ、ヒスロン)
酢酸クロルマジノン(ルトラール)
アリルエストレノール(ゲスタノン)
持発性無月経
性腺刺激ホルモン製剤 ゴナドトロピン(ゴナトロピン、ビュメゴン:筋注)
月経困難症
卵胞・黄体ホルモン合剤 ソフィアA/C、ノアルテンD、ドオルトン
月経異常が生理的範囲内か、
病的なのかを見極める
月経痛や月経不順は、多くの女性が経験するものです。
通常でも月経量が極端に多いと貧血をきたすことがあるので、まず
患者さんの訴えが生理的な範囲内か、病的なものかを見極める必要
があります。

思春期から若年の女性では、しばしば月経痛がみられます。
また月経前に頭痛が起きたり、精神的に不安定な状態になることも
あります。
月経痛には鎮痛薬が有効ですが、副作用として急性胃腸障害を
起こすこともあるので、常用すべきではありません。
毎月、鎮痛薬を服用しなければがまんできないほど痛みが強い
場合は、子宮内膜症などの疾患も考えられるので、婦人科の受診を
勧めてください。

今まで規則的だった月経が遅れた場合は、まず妊娠の可能性を
考えます。
月経周期が急に乱れた場合や、間隔が極端に短い場合は、
ホルモンのバランスの異常も考えられます。
普段の月経周期をたずね、それを大きくはずれていたら、検査が
必要でしょう。
平素から基礎体温を測定しておくと、診断に役立ちます。

また、月経時以外に出血した場合は、明きらかに異常です。
とくに性行為にみられる接触出血は、子宮筋腫や子宮癌の疑いが
あります。
こうした不正出血は、月経異常と見間違うことがあるので注意が
必要です。

未婚の女性は、産婦人科の受診をためらいがちです。
地域の医療機関でプライマリ・ケアを行っている、できれば女性の
婦人科医を把握しておきましょう。
患者さんの気持ちを配慮した、きめ細かなアドバイスが求められます。