胆のうの病気
胆のうポリープ
胆のうポリープとは
ポリープとは
粘膜にできる、盛り上がった形の腫瘍(しゅよう)を「
隆起性病変」と
いいますが、
ポリープ」は、そのなかで、きのこ状の形(茎がある)をしている
ものの総称です。

増加する胆のうポリープ
胃や腸にできるポリープは、よく知られていますが、胆のうにできる
胆のうポリープ」も、最近、増加しています。
日本胆道学会が行った全国アンケートでは、成人の5〜10%に
胆のうポリープが発見されていますが、これは、胆石とほぼ同じ頻度
ですから、かなり多い病気と言えるでしょう。

発症の年齢は、特に40〜50歳代で多くなっています。
胆石は女性に多い病気ですが、胆のうポリープでは、発症の男女差
はありません。

胆のうポリープが増加している要因として、胆石と同じように、
コレステロール系のポリープが多いことから、食生活の欧米化が関係
していると考えられます。

また、画像診断に進歩や普及の影響が大きいと考えられるのも、
胆石の場合と同様です。
健康診断や人間ドッグで「
腹部超音波検査」が一般的に行われる
ようになり、小さな胆のうポリープが見つかる率が高くなったからです。
症状はほとんどない
胆石の場合は、炎症が起きると、「痛み、熱、黄疸」などの症状が出る
こともありますが、胆のうポリープの場合、普通、症状はまったく
ありません。

胆のうの働きは、ポリープがあっても、その影響を受けませんので、
やせる、食欲が落ちる」などといった症状も、まったくありません。

このように、胆のうポリープには症状がないため、ポリープを見つける
ために、健康診断を受ける必要があります。
胆のうポリープと間違いやすい病気
胆のう腺筋腫、良性腫瘍、
早期癌などがある
胆のうポリープと見分けがつきにくい小隆起性病変には、どのうな
ものがあるのでしょうか。
胆のうの検査では、さまざまな種類の小隆起性病変が、次の割合で
見つかっています。

●胆のうポリープ(65%)
コレステロールポリープ(55%)
胆汁に含まれるコレステロールが胆のうの内壁に沈殿し、盛り上が
っていくタイプで、ポリープの代表といえるものです。

過形成ポリープ(7%)
胆のう上皮細胞が、増殖したものです。

炎症性ポリープ(3%)
胆のう炎が繰り返し起こることにより、組織が隆起したものです。

●胆のう腺筋症(13%)
慢性胆のう炎の特殊な形で、コレステロールポリープの次に多く見
られるものです。

●良性腫瘍(11%)
筋腫(7%)
分泌腺の細胞が増殖して盛り上がったものです。

乳頭腫(4%)
総胆管が十二指腸につながる出口を「十二脂腸乳頭」といいます。
この乳頭の細胞が増殖したものです。

●早期胆のう癌(11%)
胆のうにできる早期癌。
形状は多様で、ポリープ状に盛り上がるタイプもあります。

以上の小隆起病変の中でも怖いのが、ポリープの形状をした胆のう
癌と、がん化の可能性のある良性腫瘍です。
この二つは、全体の20%近くを占め、一般に「
腫瘍性ポリープ」と
呼ばれています。
一般に良性腫瘍が癌化することは少ないのですが、胆のうの
良性腫瘍の場合、最初は良性のものであっても、悪性に変わること
があるのです。

この腫瘍ポリープと純粋なポリープとの識別が、治療を行うどうか
診断するうえで重要になります。
胆のうの小隆起製病変の内訳
いろいろな検査法
発見後は、
良性か、悪性かを見極める検査を行う
小隆起性病変は、大きさ、数、形態、胆のうの壁の状態で鑑別します。
それぞれの小隆起病変には、下の表にまとめたような特徴があります。

特に診断のカギとなるのは、大きさです。
大きくなるほど癌になる可能性が高くなります。
16mm以上の小隆起病変の60%、また、20mm以上の80%が癌で
あるという調査結果が出ています。

小隆起病変の鑑別診断では、このような点を考慮しながら、画像検
査法によって、心配のない病変かどうかを見極めます。
次に、発見法を含めた、小隆起性病変のさまざまな検査法を
説明します。

●腹部超音波検査法(US)
超音波検査法は、体に当てた高周波の音波が、体内の臓器に
当たり、少しずつずれて反射してくることを利用し、体内の様子
を画像化する方法です。
腹部に、超音波を受送信する探触子を当てるだけなので、患者さん
には苦痛を感じることなく、検査を受けられます。

ポリープ状の病変があるかどうかは、大抵、この超音波検査で
わかります。
しかし太った人や、おなかにガスがたまっている場合は検査しにくい
という欠点があります。

●超音波内視鏡検査(EUS)
内視鏡」は自由に動く細い管の先端に、ビデオカメラをとりつけた
器具で、体の内部の観察の用いられます。
その内視鏡の先端に、超音波の発信装置を組み込み、十二指腸
から超音波を発信して、胆のうの内部を映し出すのが、
この検査法です。

胆のうの状態が非常に細かく観察でき、小さな病変もはっきりと映る
ため、良性か悪性かの鑑別ができます。

●腹部CT検査
人体を360度の方向からエックス線撮影をし、コンピュータによって、
人体を輪切りの状態にして映像化する方法です。

病変の詳細な観察ができ、胆のうの壁の状態も鮮明に映ります。
そのため特に、胆のう壁の状態に特徴のある、癌の鑑別に非常に
有効です。

●内視鏡的逆行性胆管膵管造影
(ERCP)

内視鏡の先端を十二指腸乳頭まで送り込み、胆のう内や胆管、
さらに膵臓の分泌管である膵管にまで、造影剤を注入し、エックス
線撮影をします。

胆のう内だけでなく、その周辺の広い範囲の様子が観察できます。
治療の範囲を確定するのに役立ちます。
胆のうの小隆起病変の特徴
治療
腹腔鏡下胆のう摘出術などで、
胆のうを摘出する
「ポリープが大きくなった、形が変わってきた、胆のう壁に変化が見
られる」など、癌化が少しでも疑われる場合には、治療が必要です。
隆起病変は、胆のう内壁にできたものなので、治療は、手術で胆のう
を摘出することになります。

胆のうを摘出しても、肝臓あるいは胆管が代償的に働き、胆のうの
機能を代償を肩代わりするので、特に問題はありません。

従来は
*開腹手術が多く行われていましたが、最近は、
腹腔鏡下胆のう摘出術」が広く行われるようになっています。
これは、おなかに小さな孔(あな)を開け、腹腔鏡(内視鏡の一種)を
挿入して、胆のうを摘出するものです。
腹部に開けた孔の傷あとが小さく、手術後の回復が早いため、1週
間以内に退院できるなど、患者さんの負担が少ない治療法です。

*開腹手術
癌の疑いが濃厚である、以前に開腹手術を行ったことがあり、
癒着がある、出血傾向がある、極度のの肥満
」などの場合は、
開腹手術を行う。

精密検査によって、病変が良性ポリープと判断される場合は、
特別な治療の必要はありません。
しかし、良性の疾患でも、将来、癌化する可能性はありますので、
1年に1回、定期的に検査を受けて、経過を観察するようにします。