熊野古道;中辺路を歩いて
不思議なご縁からおつきあいさせていただいております趣味で郷土の歴史を研究されている産婦人科医のDoctor F(75歳)がおさそい下さり海南市民病院の職員の方が主体となったグループに入れていただき10月7、8日、かねてから一度は訪れて見たいと熱望していた憧れの熊野古道;中辺路、滝尻王子から近露王子、熊野本宮大社にいたる35kmを歩いてきました。朝7時、和歌山市を出発し海南市で15名(男子7名、女性6名)全員合流しジャンボタクシーで滝尻に着いたのは9時30分でした。身支度を整え全員行程の無事を祈り滝尻王子に御参りしてから徒歩による挑戦が始まりました。いきなり険しい登りとなり、早速鼻血ブーがでる者あり、ここは医師、看護婦さんのグループゆえ適切に処置を施していただき冷やかされ激励されながら彼は無心に歩く。崖を登り、雑木林、昼間でも薄暗い杉林を通り抜け高原熊野神社の茶屋で昼食。休憩後しばらくは上りとなるがやがて尾根伝いの道となる。見晴らしがよく果無山脈の山々が美しい!!
杉林の中の熊野古道 尾根づたいの古道より果無山脈を望む
可憐な野の花に足を止め感激する乙女?あり、聡明で機智に富んだ総看護婦長のKさんが雑木にからまりついた「アケビ」を見て「アケビは何見て開く」と謎解きの問題を出す。紀州万葉集や熊野古道研究家で外科医でいらっしゃるDoctor Sは即座に「下の松茸見て開く」と応える。確かにこの付近は自然の宝庫でこの時期沢山の松茸が採れるらしい。但し、素人が行っても穫れるものではありません。遭難するのがおち。しばらく行くと今度は「栗」を見つけ「栗はいつ開くか」と問題が出る。この謎解きは宿題となり宴会時発表することになりました。夜の宴会は自己紹介に始まり、フランス帰りのファン、工務店社長Kが大いに場を盛り上げました。宿題についてメンバーの一人クリ○○○は下記のように答えました。「栗はいつ開くか、しとねと解く、その心は 夜また開く」とカラオケのあと、22時30分就寝。
牛馬童子の像 近露の山郷と清い流れの日置川
昨夜の酔いもさめやらぬ7時、宿を出発して継桜王子の一方杉、とがのき茶屋に立ち寄り、小広王子を経て女坂を下り急坂な男坂を登る。大汗をかき昨夜の深酒も吹っ飛び爽快となる。山賊に襲われ婚約者に会うこともなく亡くなったおぎん地蔵蛇形地蔵に手を合わせ上り、下りの激しい林道、沢道を一路三越峠に向うがかなり厳しかった。蛇形地蔵の手前で先頭を歩いていたおしとやかで上品な看護婦長のNさんが棒切れだと思って踏んだものが蛇でありご本人も失神しそうになったと云っていました。彼女はそれから決して先頭をきって歩こうとしませんでした。
とがのき茶屋 せせらぎの音に心がいやされる音無川の沢道
三越峠で宿のおかみさんが作ってくれたおむすびを食べ音無川の沢つたいに船玉神社、猪ノ鼻王子に向う。ここまでは総じて下り坂であるが猪ノ鼻王子から発心門王子まで約1kmは急坂であった。発心門王子で一同休憩、記念撮影の後、水呑王子を経て14時30分頃今NHKで放映中の連続テレビ小説「ほんまもん」の主舞台伏拝王子に着きました。地元婦人会の奥さんからこれまた地元で摘んだ美味しいお茶をご馳走になり、伏拝王子より眼下に流れる熊野川、はるかかなたの那智の山々、熊野本宮大社の杜、鳥居を見たときはよくも歩いてきたなと自分自身を褒めてやりたいそんな気持ちになりました。また後4km、1時間ほどで終点の熊野本宮大社につくと思うと元気が出てきました。伏拝王子には泉式部の歌碑と供養塔あります。
晴れやらぬ身の浮雲の棚ひきて月のさわりとなるぞ悲しき は余りにも有名
泉 式部の歌碑 平成13年度NHK朝のテレビ小説「ほんまもん」の
ヒロイン山中木葉が登った桜の木
伏拝王子からは下り坂、痛い足を引きずりながらも一心不乱に熊野本宮大社に向う。大社手前の祓戸王子で身を清め15時30分熊野本宮大社に着きました。大社にはジャンボタクシーが迎えに来てくれていました。東洋一の渡瀬温泉でウォークの疲れをとり名物のあなご酒で乾杯!!、和歌山市に戻ったのは21時でした。
熊野本宮大社 熊野古道ウォークのメンバー
あとがき
飽食、贅沢三昧、車と近代文明を享受し、俗社会に汚れている小生にとって、崖を上り、峪を下り、沢を渡り、尾根をつたいひたすら歩く難行苦行のウォークでした。くるしい中にも路傍に咲く野の花に感動し、うっそうと茂る檜、杉の大樹、山の霊気、清らかに流れる沢の水、小鳥のさえずり、京の都より八十余里を旅した人々の平安・鎌倉の昔を偲ぶ、一期一会の人とのふれあい、そういった体験から「いくつしみ」「思いやり」「謙虚」の精神を学ばさせていただきました。熊野古道はやはり歩いてこそ値打ちのあるものです。今回のウォークにさそって下さった Doctor F、解説、案内役をつとめて下さいました Doctor S、会計を担当していただきました 婦長のNさん に特にお礼申しあげます。
(2001/10/10 記)