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やっぱり買っちゃう翻訳書 2001年8月13日

 わざわざ台湾まで行って、さくらももこのエッセイ(中国語版)やハリー・ポッター(中国語版)を買うと、別に悪いことをしているわけでもないのに、なんだかとても後ろめたい気持ちになってしまいます。しかも訳者によっては、読みずらい!大好きな三毛の作品集の中でも、翻訳ものは何だか違和感があります(内容は面白いけど読みずらいのです)。翻訳ものは(たぶん)訳の善し悪しによって、読み易さに大きく違いが出てくるような気がします。もともと中国語で書かれたものより、当たり外れが大きいような気がします。

 翻訳書の読みにくさについて、台湾朋友(30代男性)に文句を言った所、彼は、今の中文は―特に翻訳文は―中国語では本来ほとんど使わない「受身」を多用する傾向があると話してくれました。やはりネィティブが書いたものを読む方が中国語学習者にとっては良さそうです。

 しかし、中文翻訳書を読んでいると、「やっぱり日本や欧米の作家の本が面白い。」・・・そう感じてしまう瞬間があります。一日中台北の書店街を歩き回り、帰宅後「戦利品」を確かめたら殆どが翻訳ものだった・・・という時も、同じように何とも言えない複雑な気持ちになります。「台湾好きを気取っているけど、やっぱり友人が指摘するとおり私はナショナリスト、結局日本の作品を選んでしまう」としょげてみたり、一方で「もっと台湾人作家頑張ってよね!出版業界も台湾人作家をもと育ててくれなきゃ、私が中国語勉強続けられないでしょ!」と勝手に怒ってみたりしています。

 今回(2001.8.)台湾で「無敵CD-85」を購入しました。英中・中英・國語・牛津(英英)・英熟語・コンピュータ用語・中日・日中辞典と百科事典付き。もちろん超ご機嫌なのですが、やっぱり不満が・・・。百科事典が便利そうで使えない。自分が中国語で話している時に絶対に話題にならないような昔のヨーロッパの王様の解説が載っているのに、よく使う中国語圏の言葉が掲載されていない等、「ただ訳せば良いってものじゃあ・・・。」とため息が出てしまうのです。以前、地名を覚えようと思い、世界地図帳を購入した時も、英語圏で出版されたものをただ翻訳しただけのものだったので、勿論欧米中心、台湾のことなんてほおんのちょっぴりしか載っていなかったのです。日本ではあまりこういう苛立ちを感じた事が無かったけど、それは私が全然日本語の本を読まないせいかな?

 「私は中国語を学ぶ事によって何を知りたいのか?何を獲得したいのか?」と自問してしまいます。他の同学はどんな目的をもって、どんな教材を使って勉強を続けているのだろうか、興味津々です。やっぱり真面目に語学学校に通って通訳訓練を受けたりしているのかなぁ。中国文学科卒業の同学は所謂「名作」を勧めてくれます。最近その方面の無知ぶりが知人にばれ、恥をかいたので、教養として、それらの文学作品を読んでおく必要を感じています。文学作品を読む必要性を感じつつも、でも、今を生きる私たちの感覚を表現してくれる、素敵な作家が中国語圏に沢山登場して欲しいと心から願っています。

 日本語を学ぶ欧米人が日本で本を探したら同じような気持ちになるのでしょうか?「面白いのは翻訳ものばかりじゃないか・・・」と思うのでしょうか。私は今欧米の友人がいないので分かりません。英語を勉強して、友人を作り、これらの疑問をぶつけてみたいです。

 時々英語を学ぶ人が羨ましくなります。英語なら「教材」の選択肢が無限にあるように見えるからです。この点については、私は英語を真剣に勉強した事が無いので、よく分かりません。これから勉強する中で新しい同学と知り合い、伺ってみようと思います。
 
 ガイド試験の受験勉強中からずっと「自分は中国語を学ぶ事によって何を得たいのか」「なぜ翻訳ものばかり面白く感じるのか」について考えているけど、答えは未だ見つかりません。当時は「試験合格」という明確な目的があったのでまだマシでした。昨年は、「試験疲れ」を起こし、全ての「試験」を拒否して過ごしました。研究を始めれば、読むべき文献が限定されるので、余計な事は考えずに済むかもしれません(これが研究開始の動機?)。

さくらももこ  村上春樹  菊田まり子 吉本ばなな

J.K.Rowling 

 さくらももこ

 ガイド試験直前にお世話になりました。文章は簡単で楽しく読め、かつ日本の生活の様子をどのように簡単な中国語で表せばよいか勉強できます。日常会話で使われるような文体なので、そのまま作文や面接にも使えると思いました。99年当時は新宿紀伊国屋でも購入できました。ガイド試験後は、もうちょっと読み応えのある本が読みたくなり、手に取る事はなくなりました。(現在はより難しい本を読んでいますが、検定試験などの結果は恐らく当時より悪いでしょう。「本が読める」ことと、「テストができる」は全く別物です。ちょっぴりとほほです。)

櫻桃小丸子著 銀花訳『桃子罐頭』(199712月、尖端出版)
櫻桃小丸子著 銀花訳『猴子馬劇團』(199711月、尖端出版)
櫻桃小丸子著 銀花訳『紅燒魚即魚』(
199711月、尖端出版)
櫻桃小丸子著 銀花訳『小時候』(199810月、尖端出版)
櫻桃小丸子著 銀花訳『小丸子的童言』(19991月、尖端出版)
櫻桃小丸子著 銀花訳『桃子的童年』(19994月、尖端出版)
櫻桃小丸子著 銀花訳『桃子有喜』(19987月、尖端出版)
櫻桃小丸子著 陳恵利訳『小丸子的秘密』(19996月、尖端出版)

村上春樹

 これらの翻訳書に出会うまで、村上春樹の作品を読んだ事がありませんでした。彼の短編は電車の中で読むのにちょうど良いです。何処で読んでいても彼独特の世界に引き込まれてしまうのは中国語版でも全く同じ、と知人が話してくれました。
 台湾でも流行っています。村上の影響を受けた若い作家が増えそうな予感です。青526号や水瓶鯨魚等も村上を意識しているようです。でも、やっぱり本家村上の作品の方が面白いです。早く村上春樹を越える作家が登場して欲しいものです。
 大陸でも村上春樹は人気があるようです。亜洲週刊週刊2001年26号のランキングでは上海で『ノルウェーの森』がランクインしていました。今、北京や上海では台湾で翻訳されたものを簡体字に印刷し直して(デザインは一緒)販売しているのを良く見かけます。

村上春樹著 頼明珠訳『開往中國的船』(1998122日、時報出版)
村上春樹著 張致斌訳『麺包店再襲撃』(1999823日、時報出版)
村上春樹著 李友中訳『蛍火虫』(1999823日、時報出版)
村上春樹著 頼明珠訳『人造衛星情人』(19991122日、時報出版)
村上春樹著 頼明珠訳『尋羊冒険記』(1995815日、時報出版)
村上春樹著 頼明珠訳『?威的森林』(1997610日、時報出版)
村上春樹著 張致斌訳『象工場的HAPPY END』(2000年4月、時報出版)
村上春樹 頼明珠『日出国的工場』(2001年、時報出版)



菊田まり子
 
 日本語版を読むたびに涙していました。中国語版でも毎回泣けます。

菊田真理子著 李毓昭訳『我能為ni3作的事』(1999年、晨星出版)
菊田真理子著 李毓昭訳『不論何時都能見面』(1999年、晨星出版)



 中国語学習者にはお薦め作品。原書は日本語学習者に薦めています。

乙武洋匡著 劉子倩訳『五体不満足 訪台紀念版』(19999月、圓神)

J.K.Rowling

 お世話になっているハリーポッターシリーズです。面白いものは面白い。訳者が上手いのか、原文が超面白いのか。三冊目は原書も購入しましたが1頁で挫折。素直に(?)中国語版で読むことにしました。

J.K.ROWLING著 彭倩文訳
『哈利波特與神秘的魔法石』(2000年6月23日、皇冠叢書)
J.K.ROWLING
著 彭倩文訳『哈利波特 消失的密室』(20001222日、皇冠叢書)
J.K.ROWLING著 彭倩文訳『哈利波特 阿茲ka3班的逃班』(2001年、皇冠叢書)


その他

 多くは日本でも売れ筋ランキングにランク入りしているものを選んで購入しています。『星の王子様』はひょっとすると日本語訳より中国語訳のほうが良いかも。日本語訳は文章がちょっぴり古い感じがします。

Lucille
 Noordhoff著・温肇垣訳『恋恋福爾摩沙』(2000年、校園書房出版社)
Sharon.L.Lechter著、楊軍・楊明訳『富??・窮??』(2000年、高寶国際集団)
Antonine de Saint-Exupery著 劉学真訳『小王子』(2000年、駅站文化事業有限公司)
『小王子典蔵
CD中文版Notebook』(200010月、商流文化事業有限公司)
傑克・坎菲/馬克・韓森著 呉淡如・林志豪訳『心理鶏湯U』(1996年、勁草叢書/晨星出版)
傑克・坎菲/馬克・韓森著 陳茗芬訳『心理鶏湯V』(1996年、勁草叢書/晨星出版)
傑克・坎菲/馬克・韓森著 呉淡如・林志豪訳『心理鶏湯』
薩伊徳『東方主義』 日本語版も中国語版も難しい・・・。
薩伊徳『郷関何處』  日本語版も出版されたそうです。
亜倫・皮斯/芭芭拉・皮斯『為甚麼男人不聴、女人不看地図』(2000年、平安叢書)
Eugene O'Neill『一隻狗的遺嘱』(2001年5月、皇冠)


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