2006.3.7
上弦の月

みなさんは小学校だか中学だかの理科の授業で勉強した「月」についての知識を憶えているだろうか?


3月4日、実家に行った帰りの車中から三日月が見えてるのを母が見つけた。
右下のちょっとだけが明るい、オレ曰く「爪のような月」(爪切りのときの切った爪のような)だ。

母は「あれは上弦の月なのか下弦の月なのか?」と言い出した。
「バイト先で一緒のおばちゃんが詳しくてこないだ説明をされたんだけど、よくわからなかった」
らしい。
母は元々話を聞くのがヘタなので、ビジュアルつきで説明しないと理解はできないのだ。

自分の記憶では、上弦と下弦の区別はともかく、どちらも「半月」の状態のときの呼び方だったと思った。
つまりこの日のような、明暗の境目が曲線のときはそうならないはずだ。


で、住処に帰宅後、さっそくネットで調べた。
細かい部分で間違った理解があるかもしれないが、おおむねこのあと書くような感じだ。


月の光り方のローテは、「新月→満月→新月」でひと周りと考える。
これがひと月(Month)なわけだ。
つまり、ひと月の中間・15日が満月…十五夜(ほう)。
新月から満ち始めて3日目の月が…三日月(ほうほう)。

「ほうほう」連発。
そういうことか、と手をポンと打ったのはオレだけじゃないはずだ。
よね?


さて、上弦と下弦のはなし。
十五夜や三日月と同じくして、これも時間的な由来でこんな名前になったのだ。
【半月を弓に見立てると、光っている部分の曲がった辺が「弧」で、明暗の境目の線が「弦」だから、
 弦より下側が明るいときが上弦で、上が明るいときが下弦】 
…というのは間違い。

【一日の月の動き(「空にある」間だけ)】
(実際ははじめとおわりのような真横の状態で見えることはないだろうが
上の解釈でいっちゃうと、時刻によって上弦・下弦が変わるし、最高点のときはどっちなんだ? ということになる。
ちなみに、太陽の一日の最高点を「南中」と呼ぶのはみんなわりと憶えていることではないか?
月の場合は「正中」と称するんだそうな。これも習ってたのかなぁ…

答えからいうと、正中のときに右側が明るいのが上弦(上の図の状態)、逆が下弦だ。
そして、はじめのほうに書いたオレの記憶が正しく、この上弦・下弦は「半月」であることが条件。
半月の形そのもののことを「弦」と呼ぶのが元で、Monthの上旬の弦が「上弦」、下旬の弦が「下弦」となる。
上下は「弓の弦の位置」のことではなかったのだ。
それでもむりやり先の解釈で行くのなら、「月の入」の頃のみ、「上に弦」「下に弦」が当てはまることになる。

【ひと月の月の満ち欠け(おおよそ)】

4日に車中から見えた月はまさに左ら2番目の「三日月」の状態だった。
そして、このコラムのアップ当日、3月7日の夜は…

ケイタイカメラなのでブレているが、それはそれはキレイな上弦の月だった。

Monthの23日頃の下弦の月は夜中に出てきて明け方に正中するそうで、フツーに明るい時間に活動する生活を送っているとあまり目にする機会がない。
この下弦を「二十三夜様」と呼び、月の出を眺めるといいことがあるということで、古くから「二十三夜待」という風習があるそうだ。
下弦の月の夜に集まってお勤め(読経のことでしょう…)をしたり飲食をしたり…なんだと。
ただ、基本的に女性メインの風習だとか。今日日はほとんどそういうことは行われてないようだけど。


はぁ、勉強になったなぁ、と雑学の楽しみをかみしめたところで、これを誰かに教えてみたくなった。
そうか、母親だ。
ついにケイタイメールを使えるようになった母に、この話をテキストのみでできるだけ短めに教えてみた。

『返信』というタイトルで返ってきた内容は
「月の話、わかったようなわかんないような。(以降、まったく別の話)
だった。


絶対にわかってない。

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