2005.12.3
軟禁

述べねばならない、述べんばならね、のーべんばー。


○ ○ ○

11月8日。住処のハイツの階段工事の日。

1978(昭和53)年築の鉄骨プレハブ2階建て4室というのがいまの住処。部屋割りが田の字の建物ということだ。
オレの部屋は外階段を上がった2階の奥。
階段はまるまる鉄製で、最近何段か微妙なグラつきを感じていたところだった。
週3度の人工透析をしているジイさんと腰がかなり曲がったバアさんの夫婦である大家も、こういうところはよく見ている。

工事の予告が前の週にポストに入っていた。
(担当:石川 職長:金澤… 担当が香川さんのときは職長が高松さんなんだろうな…)
8日が付け替え、11日が塗装。
8日のところには「日中、少しの時間通行出来ません。」と書いてある。

2階のもう一軒もオレと同じ独り住まいで、普通に昼働いているオッサン。
大家はそれを知っているから、平日の日中の取り替え… きっとお昼ごろだろう、と思っていた。


この日は朝急いで出る必要はなかったので、コアタイム11時出社のペースで起きることにした。

鉄骨のプレハブハイツは、揺れる。
となりの部屋のオレより太ったオッサンはガサツで、ドアをバタバタ開け閉めするなど物音が大きい野郎だ。
夜中に階段をドカドカ踏みならして上がってくることもあって、地震かと思って飛び起きたことが数度ある。
そのオッサンでなくても、2階の部屋の中で誰かがジャンプしようものなら、建物全体にドシンと音が響く。

朝、そんな建物の振動とともに目が覚めた。アラームの時刻をとっくに過ぎた、9時頃で、危うく寝坊だった。
んが、オッサンの足音ではない。どう考えても階段をどうにかこうにかしている金属音だ。

オレは寝グセがつきやすい。それを直すのは整髪料ではなく、洗髪。
古い言葉で言えば「朝シャン派」なのだ。
この日も寝グセはいつもどおりで、風呂に入らないとどうしようもない。
ひとまずトイレに。起きがけの大だ(笑み)

その最中、呼び鈴が鳴る。作業員が「階段外すけどいい?」の確認に来たんだろう。
でも、出たいけど出ているので出られない(バカみ)
用を足したあと、寝グセ頭のまんま外へ出ると、階段が半分外れかけていた。
訊くと「外すと40-50分は通れなくなる」とのことだった。
呼び鈴に出て待ったをかけたところで、寝グセ頭のオレはすぐに出かけられなかったわけで、
どの道10時くらいまで軟禁と決まっていたのだ。

11時に会社に出るには、妙典9時59分の電車に乗らないと間に合わないので、遅刻決定。
9時半頃会社に電話してみると、早く出てる人間がいたので、
「階段がないので地面に降りられない」と連絡。当然笑われた。

風呂を済ませ、いつでも出られる状態で待ったものの、次に呼び鈴が鳴ったのは電車が出る9時59分だった。

ピカピカの銀色の階段を降り初めする。
グラグラ感がぜんぜんなく、踏むと小さく揺れた前の階段がヤバかったことがよくわかった。
それと、前のより一段一段の段差が小さく、段が1つ増えたっぽい。
「どう? 降りやすいでしょ?」と工事のオッサンに言われたが、「はい」というのがやっとで。

結局会社には11時14分に出社。

あぁ、バカバカしい。

なお、11日金曜の塗装工事で階段は他の鉄骨部分に合わせてあずき色になった。
夜帰宅したときにクツの裏にペンキがついてないか確かめたが、ついてなかった。
あっさり乾くもんだね。

Back