WBCはおうちで

【平均視聴率40%超え】
WBC、いくつかの「演出」のおかげでチームも世間も盛り上がり、日本は世界一になった。

中高年にとってのスーパースターである王貞治と、その下の世代のスーパースターのイチローが手を組んで真剣に取り組んだこの大会、
テレビの街頭インタビューでは、ルールもしらないようなオバさんたちも手放しで喜んでて面白かった。

街頭インタビューでは相変わらず「ボクシング?」とか「国際なんとか機構?」と訊き返す人もいたが、
テレビの視聴率を見れば、やはり世の注目はすごかったことがわかる。

関東地区のテレビ中継視聴率は平均43.4%、瞬間最高は王監督の胴上げの場面の56.0%だった。
平均で40ポイントを超えるのはものすごいことだ。
1977年に始まった現行のリサーチ方法における「プロ野球」史上3位の高視聴率だったそうだ。


【心をキャッチ】
スポーツの国際試合でダントツに国民が盛り上がるのがサッカー。
こちらも同じように、ふだんはサッカーに興味なさげなオバさんも気になってくるわけだ。
んが、キング・カズやゴン中山以降、わかりやすいスターが出てきていない。
ヒデだったり宮本だったり小野だったり、技術もカリスマ性も高い選手はたくさんいるんだけど、みんなスタイリッシュすぎていかんのだ。

王やイチローがスタイリッシュじゃないわけじゃないが、わかりやすいスターであることは間違いない。

しかし王はどうしても長嶋茂雄と比較され、天真爛漫な長嶋のおかげでいささか生真面目・堅い、と思われがち。
イチローは天才的な能力の発揮を重ねれば重ねるほど、神のような扱いが強くなり、
いつしかマスコミにも冷めた対応ばかりする「孤高のヒーロー」のような存在になった。
そんな「世界の王」と「神様・イチロー」が試合をするごとに子どものように一喜一憂する姿は、国民の心をつかんで離さなかった。


競技やチームの「ファンになる」きっかけはいろいろだ。
カッコいい選手・かわいい選手をたまたま見た、それを目当てで競技を観るようになり、
一緒に出ているほかの選手が気になり、(団体競技なら)チームが気になり、ルールが気になり、戦術や技術が気になり…
ユニフォームや衣装、応援のノイズ・サウンド、競技場… いろんなきっかけがあり、順番があり、度合いがある。

エンターテインメントとしての野球のいいところは、マウンドや打席に立つことで、各選手に「注目される場」が与えられるということ。
各自の投球・打撃フォームからユニフォームの着こなしまでいろんな特徴が見え、とくにテレビ中継では各自の個性が印象に残りやすい。

だから、書いたような何かのきっかけで野球に思い入れが生まれると、そこからの広がりも速いような気がする。


【ガストはスクリーンも安物?】
私自身にはきのうの決勝に関してひとつ、残念なことがあった。
野球を好きがゆえ、私はきのうは10時-12時で草野球の試合に参加していた。
同じような人種の集まりなので、相手さんも含め、11時以降はWBCの速報をケイタイで取り寄せ、教えあいながらのプレーとなった。

12時に試合終了。
昨年同じグラウンドでやったあとに寄ったファミレス・ガストへ。
店内のTVスクリーンでは、昨年の訪問時はJリーグ中継が流れていた。
ガストへ向かった8人全員が、WBCの映像を観ながら、応援しながらの昼食を望んでここに来た。

案内された席はなんとスクリーンの目の前の特等席だったのだが、どうみても画面が消えていた。
店員に訊くと「故障中で…」との返答。
けっきょくここでもケイタイのウェブや友人からのメールでの情報交換。
こういうときって、スポーツ新聞のサイトよりテレビを観ている友人からメールしてもらったほうが断然速い。

試合終了の報をみんなで確認し、静かに喜びを分かち合って解散。
帰りの車中ではニッポン放送の中継を聴く。
表彰式や胴上げのシーンを音声だけで感じ取る… ちょっと空しかった。
野球をプレーしに行ったがために、日本の野球、そして世界の野球にとって記念すべき試合を
リアルタイムで眺められなかったという現実が、野球バカとしては悲しかった。

野球を好きがゆえ。
それでいいか。

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