井出の起用が展開を生む
Osaka Kintetsu Buffaloes
V.S
Nipponham Fighters
2002.8.23 Fri.
パ・リーグ公式戦
Bu-Fs 19回戦[大阪ドーム] 観衆:14,000人
2-3
TN
1
2
3
4
5
6
7
8
9
R
Fs
0
0
0
0
0
2
0
0
1
2
Bu
0
0
0
0
0
3
0
0
X
3

Wパウエル13勝6敗 S大塚1勝13S Lシールバック6勝6敗 HR井出12(2/ランニングHR)


-STARTING MEMBER-


Fs
 
Bu
1
金 子
大 村
2
石 本
水 口
3
小笠原
ローズ
4
オバンドー
中 村
5
田中幸
川 口
6
クローマー
鷹 野
7
吉 岡
8
野 口
阿 部
9
田中賢
的 山
P
シールバック
パウエル

2000年から書き始めたカンセンキ。長文で試合進行をなぞりながら書くSizeスタイルがいつの間にかできあがってしまった。
自分でまいた種でありながら、3年目にはそれがだんだんとめんどくさくなってきた(笑み)
いつまでもズルズル続けてもしょうがないし、ここを覗いている人たちもそんなにいないだろうからゴールを決めることにした。
Fsは札幌移転が決まり、2004年は観戦が激減するのは目に見えている。
ってことで、2003年いっぱいはこのカンセンキをつづっていくことにした。

…なんてことを書いているのは2003年の1月。もうこの8月の試合から半年が過ぎているのだ。
仕事がたてこむと、帰ってからこのカンセンキを書く気力は生まれない。風呂に入って寝るだけだ。
9月後半からそんな生活が続き、これを書くことをすっかり忘れていたのだ。
このことを予見して、試合翌日のスポーツ新聞を資料として購入し保管してある。
この試合以降の2002年分は、なんとかして思い出しながら書く。よって、試合の細かい内容は書けない(笑み)
それを踏まえて読んでちょーだい。それでは本文へ。


私をFsファンにした中1のときの同級生・アゴ井上と夏季休暇を利用して大阪へ飛ぶことになった。
千葉と東京の都県境に住んでいる私にとって、中日から西のホームグラウンドは「遠征」になる。
これまで大阪、神戸、福岡へ遠征経験が何度かあるが、三連戦すべて観戦というのは初めての経験だ。
2日目の夜と観戦以外はとくに計画も立てずに新幹線で新大阪へ向かう。

キオスクでニッカンを買って試合予定を見ると、ウエスタンの近鉄-阪神戦が12時半から藤井寺であるようだ。
現在ファームの本拠地であり合宿最寄りの練習場である藤井寺球場。一軍が離れて久しく、いつまでも残っているとは限らない。
ファームの試合はそう多くないし、これを逃すといつになるかわからないのでふたりの意見は一致、迷わず向かうことにした。
新大阪の到着時刻からして、プレイボールには間に合わないが早いイニングのうちに入れそうな感じだ。
新大阪から大阪へひと駅移動、さらに環状線で鶴橋へ向かう。途中、どこかの駅前でガラの悪そうな奴らがたむろしていた。
ヤクザのイメージより体格がいい。怖ェ〜と思いながら背後の建物に目をやると「正道会館道場」の文字。なるほど(笑み)

さて、知っている人ならすぐわかると思うが、近鉄に乗り換えるなら鶴橋だろうと思っていたのは私の勘違いだった。
鶴橋の近鉄のりかえ口で藤井寺への切符を買おうとするも、運賃表の路線図に「藤井寺」がみつからない。
たしか、駅は藤井寺で間違いなかったよなぁ… ふと左にもうひとつあった路線図を覗くと、「券売機では買えない」行き先であることが判明。
私は藤井寺駅が近鉄大阪線の駅だと思っていたのだが、実はあべの橋駅から出ている近鉄南大阪線の駅だったのだ。
アゴ山に謝って環状線に乗り直して天王寺へ。天王寺で外へ出て、向かいにあるのが大阪あべの橋駅だ。
この駅の所にあるのが都ホテル。Fs選手の大阪遠征宿舎だ。選手らしきガタイのいい男が歩いていやしないかとキョロキョロしたが、いなかった(笑み)

あべの橋駅はなんだかさみしい始発駅。東京でいうと東武浅草駅っぽい。
うちらの乗る急行(準急だったかな?)電車は5両。脇にいる特急はたったの2両。平日の真っ昼間ということもあるだろうが、とにかく閑散としていた。
先に出ていった各駅停車を途中で追い抜いて、藤井寺着。駅の寸前、右側に球場が見えた。
改札を出て球場へ向かう。住宅地にある球場というのは昔から知っていたが、それにしてもプロ野球のフランチャイズ球場があるような雰囲気ではない。
日本のプロ野球名物のトランペット応援がこの球場では厳禁だったのもよくわかる。
野茂ブライアントが、そして加藤哲郎発言で大逆転負けを喫した対巨人の日本シリーズが、
ここで当たり前のようにプレー・開催されていたというのがまことに不思議な風景だった。

観戦料は異常に安かった。…月日が経ち忘れてしまったが、数百円だったような… 500円以下じゃなかったけな。
試合はなんとまだ3回裏だった。入ったところで部坂から吉川元が3ランを放ち、9-2近鉄がリードした。
さすがファームで、いろんな人が出てくる。近鉄の4番はなんと益田。一軍登録中だが、ファームにも顔を出している。でも、彼が4番とはガラじゃない。
ほか、五十嵐武藤といったここにはいてはいけない選手もスタメンで出ていた。
阪神は3番桜井・4番喜田という新人コンビがクリーンナップに居座る。
私は彼らの知識がない状態で見たが、2人ともルーキーらしくない体格で、打席では長打を生み出すようなオーラを放っていた。
桜井は私たちが来る前に一発放ったようだ。この2人は近い内に一軍のレギュラーメンバーになっていると思う。桜井に関しては、一発か三振か、という感じだが。
私のひそかな注目は新井亮司。私が選手名鑑を眺めていて「この顔は将来活躍する」と勝手に判断した選手。長打力を秘めた素材のようだ。
8番・DHでスタメンだったが、私たちが来てから初めての打順でカツノリに交代。カツノリは結果を出せず、次の打席は元Fsネモトが代打で出た。
ネモトはランナーをおいた場面で三振。ファームで結果が出ないんじゃぁ… 先が見えて来た感じだった。

投手陣は両チームなかなかの顔ぶれ。近鉄小池(先発)・ジョンソン阪神ハンセル成本・ルーキー安藤が登板した。
荒れたのが6回に投げ合ったジョンソン安藤ジョンソンは6安打5失点。ハンセルとともに故障からの復帰登板だった安藤は4安打5四球7失点。
6回1イニングだけでかなりの時間がかかった。試合はこの後両チーム疲れてしまったのか得点がなく、16-7近鉄が勝った。
藤井寺のスタンドはバックネット周辺だけの開放。内野スタンドも外野に近い部分は入れない。
ここにファウルボールが入ると、控えの選手が捕りに行かされる。スタンドをユニフォーム姿の選手がウロウロするのは面白い風景だ。
ヤクルトの戸田グラウンドでは、選手がスタンドではなく草むらをかきわけてファウルボールを捜している姿が見られるという。それよりはマシかな。

球場を出ると、阪神ファンが選手の出待ちをしていた。前日広島戦でリリーフ失敗し井川の勝ち星をフイにして傷心の二軍落ちをしたばかりの金澤の姿もあった。
この金澤、出てきたときのファンの反応が特に大きかった。なるほど、顔はイイ男だ。前日涙を流していたというが、気さくにファンにサインする姿は感心。
 

ふたたび南大阪線であべのへ戻る。途中でラーメンを食べてから環状線で大正へ。いつも思うが、大正駅は中央線の水道橋の駅に雰囲気が似ているのだ。
距離こそ違えど、改札を出て右へ行き、橋を渡ってドームへ向かって行く過程もおんなじだ。

やっとこさ本題の近鉄-Fs戦だ(笑み) これまで土日しか体験していない大阪ドーム。さすがにガランガランである。
しかし、ついさっきまでいた藤井寺とは別世界の空間だ。
先発はパウエルシールバックの外国人対決。パウエルは単独トップの13勝目を賭ける。
シールバックは春先3連勝したものの、以後勝ち星のペースは落ちている。前回の登板で6勝目を挙げているので、この試合は… 期待はしないほうがいいか?

…と思いきや、なかなかいいじゃないの! 5回まで散発3安打。そしてFs打線もおつきあいして散発1安打。っていうか、散ってねぇよ。1本じゃ。
シールバックは課題のコントロールが安定して、フォアボールが出ない。これはいい兆候である。
いっぽうのパウエルは3四球1死球と、いつもの荒れつつも抑える投球だ。

試合が動いたのは6回。オバンドーがセンター前で出たあとユキオ凡退、6番・クローマーには代打・井出が起用された。
クローマーが前の打席で死球を受けていることもあったのだろう。ただ、井出も今季は打率が上がらない。
しかし、これがここでは吉と出た。井出がライトへ放った打球を鷹野がバウンドを合わせ損なって打球は点々…。
井出は一気にホームへ帰り、何とランニング2ランとなった。2-0と均衡を破った。

Fsベンチは好調なシールバックを代える由もなく6回裏も投げさせた。
しかし、先頭の大村がライトへツーベースで出塁。水口凡退のあと、ローズにセンターへタイムリーを浴び2-1
ノリもヒットで続いたあと、川口にはライトへ抜かれてタイムリーとなり2-2の同点。
6番は鷹野。前の守りでエラーはつかなかったもののミスをしたところだが、しっかりとり返えされてしまった。
レフトへの犠牲フライ。この守りから井出が代打からセンターに入ったため、それまでセンターにいた石本がレフトに回っていた。
クローマーならホームへ返球できたかとも見えた当たり。球界屈指の弱肩外野手である石本には無理な距離だった。
さっき「ここでは吉」と書いた井出の代打起用は、直後に凶と出てしまったのだ。2-3。あっさりとひっくりかえってしまった。
シールバックはこの回だけ悪くて結局KO。建山がなんとか後を凌いだ。

7回表。リードした途端つかまったシールバックを手本にしたかどうかは知らないが、近鉄パウエルを勝ちの権利がついたところであっさり引っ込めた。
2番手はなんと吉田豊彦。たしかに岡本を出すには早いかもしれないが… ナメられたもんだ、と思った。
しかし、賢介の代打・奈良原がファーストフライ、金子石本の代打・はサードゴロに斬られる。得意の緩い球で手玉にとられてしまった。
7回裏を建山が三者凡退で切り抜けたあと、8回表は先頭のオガが見事スリーベース! 1点差で無死三塁という、追いつくには恰好の場面だ。
近鉄豊彦に代えて岡本をマウンドへ。大塚の復帰で本来のセットアッパーに戻った岡本、今季は安定感がある。
この岡本の前に、Fsご自慢のの低得点圏打率クリーンナップは刃が立たない。
オバ三振、ユキオはいい当たりだったがショート・阿部の正面へのライナー、井出もファーストゴロに倒れる。
オガは三塁に釘差しのまま。9回の大塚の登板は見えていて、勝てる気は失せてしまった。

8回裏を佐々木井場で抑え込んだものの、9回表は大塚の前に、野口奈良原と三者連続三振で最悪のゲームセット。
パウエルがリーグ単独トップの13勝目を獲得した。
 

私たちの宿は十三にあった。十三は通り過ぎたことしかなく、降りたのは初めてだ。
なんだかアナーキーな風景の街。東京なら新宿歌舞伎町のハズレの方、といった感じ。
実は、翌日の夜行くことを決めていたのが、この十三にある「やまもと」というお好み焼店。ネギ焼の元祖として至極有名なところだ。
話では店が狭いと聞いていた。大阪で働く幼なじみに案内してもらうつもりでいたので場所は知らなかったのだが、偶然店の前を通った。
何と、改装工事中! あらら、これも大きなお目当てで大阪入りしてるのにさぁ…。
さらにホテルへ向かって歩を進めると、22時前後というのに大行列が…。「やまもと」の別店舗がそこにあった。
こっちの店はもっと狭い感じ。どうやら、あしたはこの列に混じることになりそうだ。

ホテルに着いた。向かいはラブホテル街(爆み)
うちらはもちろんきちんとしたホテルに泊まったのだが、部屋を出るときに自分で外からカギをかける方式の部屋だった。
外目はきちんとしてるんだけど。なんでこんな旧式なん? 十三はあなどれん。

【●●●今季観戦通算 5勝7敗 勝率.417●●●】



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