小説のネタにもならない劇的勝利のカゲで…


巨人が劇的な試合で優勝を決めた。

きょうは7時からの中継をテレビで観た。
中日の先発・前田はパ・リーグ出身だ。
私はアンチ巨人ではないのだが、ここはパの血が流れる前田に意地を見せてほしい。

山本昌が登板する予測もあったが、防御率のタイトルを狙う山本昌
イマイチコンディションがよくないとのことで、率を下げないように回避。
今季途中から久々に先発ローテーションに入った前田がこの日の先発になった。

打線が上原をKOして4点の援護。
コントロールがよく、無四球、被安打5で8回を無失点で投げきった。

9回の表、前田に打順が回ってきた。
一死一・三塁の場面でそのまま打席。一塁走者を二塁へ送るバントを決める。
中日この場面で代打を出さず、二死にするバントをさせに投手の前田をそのまま送ったわけだ。

「この試合は任せた」。そういうベンチの意気を前田は感じたはずだ。

私は25歳でそんなに長い間プロ野球を観てきたわけではない。
しかし、その間に得たジンクスからすると、こういうときは、完投させたほうが勝つ確率は高い。
だから、この代打を送らなかった星野監督の采配は私には好感がもてた。

9回裏・「きょうも優勝はおあずけか?」というムードの巨人だったが、元木高橋由が連打。

左対左の松井を迎えたところで、山田コーチが登場。
「?」と思った。まぁ、声掛けだけで代えやしないだろう…と思いきや、なんと交代。
しかも岩瀬ではなく抑えのギャラードが即登場となった。
ここで前田の92年以来の完封も95年以来の完投勝利もなくなった。

流れが変わるのだ。ああいう5回を投げれば御の字の投手が計算外にいいピッチングをすると、
終盤で点差があるのに、ちょっとランナーを出しただけですぐに代える場面をよく目にする。
どこのチームでもそれは同じなのだが。
しかし、先に書いたとおり、2点くらい失ってでも完投させたほうがよかったのだ。

たいがい「5回御の字投手」は球威がなく、緩急やコントロールでノラリクラリ…のパターンが多い。
その投手が去った後に速球派の抑え投手を出すと、よ〜く打たれるのだ。

しかも、リーグ全体でも抑えのエースといえるギャラード。球威があるが、意外にコントロールが悪い。
ことしのオールスター戦でも、大差の場面で登板、コントロールを崩してパ打線につかまり、
ヒヤヒヤ登板になっていた。

私はそれを思い出した。「前田の勝ちもなくなったな…」。
案の定、ストライクが入らず苦しむところに甘く入った球を松井はライト前に渋くヒット。

満塁でマルティネス登場。「初球のストレートは絶対強振しろ」と、勝手に私は思っていた。
そして、当たり前のようにギャラードはストレートを投げ、マルは強振した(笑)。
しかし、空振り。2ストライクが入ったところで、もう落ちる球で三振するのは見えていた。
そして、外角のフォークを三振。ほんとにこの2人はわかりすくて面白い。

が、おそろしい巨人打線。次に控えるは江藤だ。
今季、さまざまな重要な場面で幾度となくホームランをかっとばしてきた。
相変わらずコントロールが定まらないギャラードはど真ん中に投じる。

「あぁ、そんなとこ投げたら誰でも打つって」と思った瞬間に、打球はレフトスタンドへ一直線。
やっぱり江藤が決めた。もう優勝が決まったような大騒ぎ。

次の二岡は二球目だった。高めに上ずったところをうまくライトスタンドに叩き込んだ。

小説のネタにもならないようなものすごい逆転サヨナラでの優勝決定となった。

この1イニングで、「巨人はカネで勝った」「あれだけ戦力があれば優勝して当たり前」といった
優勝しても素直に喜べない雰囲気は吹っ飛んでしまった。
ヘタに4-2とかで勝っても、選手が大騒ぎできる雰囲気になってただろうか?
まぁ、なってたかもしれないが、この日のような勝ち方をしたおかげで、
選手達は腹の底から優勝を喜んでいた…というか、この日の興奮を楽しんでいた感じだ。

しかし、忘れてはならない。前田の完封・完投がなくなった上、勝ち投手まで消えてしまったのだ。
み〜んな劇的な終末に酔いしれていたが、前田のことなんかすっかり忘れてしまっていた。

そういやぁ、ロッテ時代も先発の柱になってたものの、いっつも負けが先行していたなぁ。
そもそも、ロッテに入っちゃったことから、彼のプロでの巡り合わせの悪さが始まってたのかもなぁ…。
こういう特別な試合で完封でもやれば「中日前田あり」となったものを…。

後続の「リーグ最高の抑え」がつかまちゃうし、ホント、ツイてないよなぁ。前田
 

さて、あしたのスポーツ新聞、どうするんだ?
オリンピックでは高橋尚子が日本人陸上女子選手初の金だ。巨人も劇的勝利で優勝。

見出しは間をとって「高橋尚」で行こう!(ばか)



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