当初、横浜スタジアムで行われる予定であったオープン戦・サントリーカップの横浜-ロッテのカードが、
サヨナラ試合として川崎での開催に変更された。
近年までやっていたロッテのイメージが強いが、きょうは横浜が主催。ロッテは3塁側に入った。
前売り券をFs観戦仲間から分けてもらった。しかし、あんな事態が待っていようとは…。
川崎駅から球場へ向かって歩く。第一京浜(国道15号)を渡る歩道橋の先に、長い列ができている。
川崎球場へ入る内野席のチケットを持っている客の列だ。仕方なく並ぶ。
…というか、並ぶことにしたんだけど、最後尾が見えない。第一京浜から曲がった路地に続いている。
列を追っていくと、目線の先に球場が見えてくる。しかし、列の最後尾はまだ見えてこない。
球場の脇の道より1本手前の道を右折。その先の信号を列はさらに右折して、球場に背を向ける。
2つめくらいの角をさらに左折。やっと、「最後尾」の看板が見えた。
球場の近所に大きな「S」の字ができた格好。
なにしろ、キップもぎが3人しかいない。
外野の方はどうなってたのか知らないが、かなりのボトルネックだ。
しかし、きちんとなっていた列が、球場寸前になってばらける。
ここまで来て、こっそり列に加わってもまったくわからない状況。
じっさい、私より後に川崎に着いたはずの一緒に観戦した人間が先に中に入っちゃってたし(爆)。
結局、現場に来てから1時間ほど並んで、やっと中に入る。
ここには91年のオリオンズ最後の年に1度だけ来たことがある。
この年、グラウンドは人工芝に、スタンドのベンチも改修、スコアボードは電光表示に変わったが、
けっきょくオリオンズは翌年マリーンズとなって、千葉に移ってしまった。
このときはもちろんFs戦。夏休みの平日のナイターだったが、もちろんガラガラ。典型的な川崎球場の風景だった。
あのときは3塁側だったが、きょうの観戦位置も1塁側ながらほぼ同じところ。
内野の自由席。背もたれがない、多球場なら外野席がいいとこのベンチだ。
甲子園のアルプススタンドなんかもあるが。
しかし、東京ドームなど近代的な球場に慣れた体でギュウギュウ詰めの川崎球場にくると、ビックリする。
前回来たガラガラのときにはなんともなかったスタンドの通路が、異常に狭い!
横方向の移動通路が、すれ違いも億劫な狭さ。
しかし、縦方向、自分の席に向かうための通路はもっと狭く、幅が数10cm! 傾斜も急なのに、掴まるところもない。
ただでさえ、列の端にいる人の肩を蹴りそうなのに、異常なほどの観客数のため、この狭んまい通路に座るバカがいる。
ババアもへいきな顔をして座っている。先に来ている仲間に席をとっておいてもらってあるので、そいつらを蹴りながら(爆)下へとおりる。
毎試合満員の巨人のようなチームの本拠だったら、こんなスタンドは残ってなかっただろう。
絶対にスタンドの埋まることのないロッテの本拠だったからこそ、このヘンテコスタンドが当然のように残っていたわけだ。
ちなみに本拠チームの応援スタンドとなるライトスタンドは、レフトより客席が少ない。
これは、都市計画によって、後ろの道路にスペースをとられてしまったのだ。
上からの写真を見ると、見事にえぐり取られているのがわかる。
照明灯も、ここだけスタンドのど真ん中に立っている。
さて、並ぶのに時間がかかったため、スタンドに入ると同時に始球式となった。あぶないあぶない。
川崎にいた頃の大洋のバッテリー平松政次と土井淳が登場。当時のオレンジのユニフォームだ。
バッターはロッテの山本監督だ。
おきまりの空振りで試合開始。
試合は伝説の試合となる。22-6。
ロッテがホームラン10本という、両翼89m・スタンドも狭い、まさに川崎ならではの超猛攻で大勝利した。
平凡なフライと思われた当たりがドンドンスタンドインする。
落合がシーズン50本超えたのも、基本能力がズバ抜けてるとはいえ、「せまさゆえ」なのは否定できないところだ。
ホームランを打ったのは…
堀 2発。2イニング連続・2打席連続。花火大会のプロローグとなる1本目は満塁アーチ。
バリー 2発。左右両打席アーチで不振を返上。1本目は場外へポロッ。
初 芝 2発。ともに2ラン。
小 坂 2発。1シーズン3本が最高の男が、1イニング2発!
立 川 すでにイニング2発浴びている森中から3ラン。
福 浦 9回に川崎球場最終アーチ。
逆に打たれたのは
斎藤隆2回4発10失点。森中1回4発8失点。矢野1回2発3失点。そんなに打たれたいのかねぇ…。
マシンガン打線といわれた横浜は逆に0本塁打だった。
ロッテの先発は開幕投手の黒木。
5回5失点だが、試合後のコメントはそう心配してない様子だったそうだ。ホントかぁ?
どっちのチームのファンでもないので、純粋にプロ野球が楽しめた、とってもいい試合だった。
私個人の興味は、ロッテ、いやロッテの応援だ。
92年、千葉に移った年も、2試合川崎でゲームがあった。
このときのライトスタンドはしっかりオリオンズの旗が揺れていた。
きょうも、当然そのスタイル。
オリオンズの旗のもと、レフトから昔の懐かしい応援テーマがドンドン出てくる!
私がプロ野球が好きなのは、野球そのものの他に、このラッパの応援に興味があるからでもある。
中・高校生のころは、よく文化放送のパ・リーグ中継の音を録音していた。ラッパを主役に(笑)。
その頃や、それ以前にやっていた曲をたくさん聴けた。
一緒に行った仲間も昔を憶えていたので、一緒に懐かしがった。
また曲だけでなく、応援の振り付けや太鼓の音も昔のもの。試合が進んでくると、どんどん古くさくなる!
さいごは、笛やカネの音も混じり、オリオンズ時代の応援が完全に甦った。
川崎で今のオーオー言う応援はやって欲しくないと心配していたが、やっぱりみんなわかってる。
さすがはロッテ、いやロッテファンだ(笑)。
対照的にライトの横浜ファンは、8回裏が終わるとどっと帰ってしまった。
まぁ、ああいうところで帰っちゃうのは、ホントに好きなファンたちではないだろうなぁ。
私はどんな展開だろうが、用事がないかぎりは最後まで観戦する。
試合終了を見届けないで帰るなんてのは考えられないな。
お金払って観に来たイベントを「完食」しないで帰るのだから。
「完食」といえば、球場の名物、ラーメンだ。5回頃、スタンドから出て食べに行った。
しょうゆベースのうすいスープだった。どうやら、以前はもう少し濃かったらしいが、
きょうは客が最後まで途絶えなかったので、かなり雑につくってたようだ。
待ち&食べてる間に3本のアーチが出た(笑)。
ともあれ、球場で食べるということと、きのうついに食べられなかったこともあり、スープも全部飲み干してしまった。
ここは選手が食べに来る程の名店なのだ。店は他の所にちゃんとあって、球場の店はきょうが最後。
試合が終わり、グラウンド内でなにやら人文字をつくっていた。「ありがとう」と書いてあったらしいが、
上空を飛んでいた数機のヘリコプターからしか見えなかったのは残念だ。
その後、ホントのロッテファンが固まって、レフトから座り慣れたライトスタンドに移動。
試合でもやらなかった昔の選手のテーマを川崎球場のレクイエムとして「完奏」したもよう。
係員に追い出されるまでやっていた。
私も客がほとんど引いたところでスタンドに戻り、その音を聴きながらひととおりグラウンド風景を撮影した。
ただ、ちゃんと撮れてるかが不安だ(笑)。
数々のドラマを生んだ、「名球場」がまた1つ消える。
とくにここはいろいろな意味でクセがあったので、とても残念だ。